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前世のペットを召喚できる俺、どの子もこの世界では規格外でした ~レベル解放で家族が増える召喚士~  作者: いたちのこてつ


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第8話 新たな依頼の受注

翌朝。カケルは少し重い体を引きずるようにして、再び冒険者ギルドの門を潜った。


一晩中、茶渋を維持し続けた代償は、じわりとした倦怠感となって残っている。一晩一緒に寝て落ち着いた様子の茶渋を送還したことで、魔力は少しずつ回復に向かっていた。


(……やっぱり、出しっぱなしはきついな。早くレベルを上げて魔力を増やさないと)


カケルがそんなことを考えながら受付へ向かおうとすると、カウンターの方から聞き慣れない男の大きな声が聞こえてきた。


「――だからね、ミラさん! 驚いたんだよ。あそこはもう、何年もハエの巣窟で、何度討伐依頼を出しても逃げられてしまうから、またすぐに戻ってきて手が付けられなかったんだ」


声の主は、昨日カケルが受けた『廃屋のギガ・フライ討伐』の依頼主である中年の男のようだ。彼は身振りを交えて、興奮気味にミラへ詰め寄っている。


「それがどうだい、今朝確認しに行ったら、いつものようにハエが戻ってくる気配もないし、死骸が転がっていることも、血が飛び散っていることもなかった。あんなに完璧に『根絶やしに』してくれた冒険者は初めてだ. ぜひ礼を言いたくてね!」


ミラは男の話を適当に相槌を打ちながら聞き流していたが、ある一点で表情を微かに強張らせた。


(……死骸一つ、残っていない?)


普通、討伐依頼は魔物を殺すだけで終わる。死骸の処理は依頼に含めるか、放置されるのが通例だ。


彼女の脳裏に、昨日の夕方、カケルが淡々と言い放った言葉が蘇る。


『ワサビ君が全部食べたので』


(……本当に、あの小さな召喚獣が、死骸も血痕も残さず、あの数のギガ・フライを「完食」したというの?)


ミラの背筋を、形容しがたい不気味な震えが走り抜けた。


「あ、カケル様! おはようございます」


ミラの視線が、ロビーに入ってきたカケルを捉えた。


依頼主の男も振り返り、「おお、あんたか!」と、ぐいとカケルの至近距離まで詰め寄ってその手を握りしめた。あまりの勢いと熱気に、カケルは「うわっ」と小さく声を漏らし、引き気味に半歩ほど身を引いた。


「あんた、最高だよ! あんなに完璧にやってくれるなんてな。次も何かあったら、ぜひあんたを指名させてもらうぜ!」


男は満足げに笑いながら、カケルの肩を何度も叩いて去っていった。嵐のような感謝が去った後、ミラは少しだけ複雑な目でカケルを見つめた。


「カケル様……。依頼主様、とても喜んでおられましたよ。『根絶やし』の依頼だったとはいえ、あそこまで綺麗に片付いているとは」


「ああ……ええと、まあ、結果的にそうなってしまったというか」


カケルは苦笑いして誤魔化した。


「……ミラさん。実は、相談があるんです」


カケルが声を低くすると、ミラも居住まいを正して身を乗り出した。


「昨日、ギルドマスターから『目立ちすぎるな』と忠告を受けたんですけど……。俺としては、早くレベルを上げたいし、お金も稼ぎたい。ただ、今回みたいに騒ぎになるのは避けたいんです。何か、今の俺にちょうどいい依頼はないでしょうか?」


ミラはカケルが奢ることなく、ヴォルガンの言葉を真摯に受け止めていることに安堵した。彼女は手元の書類を素早くめくり、いくつかの羊皮紙をピックアップする。


「そうですね……。昨日のような異例の成果を出し続けて、これ以上街の中で目立ってしまうのはリスクがあります。でしたら、少し足を伸ばして『素材採集』を主とした依頼はいかがでしょうか?」


「素材採集、ですか?」


「はい。例えば、この西の森に自生する『月見草』の採取や、特定薬草の回収です。これらは地味な作業なので、ベテランはあまり受けません。ですが、森には当然魔物も出ます。その魔物を召喚獣たちが『片付けて』しまえば、人目に触れることなく安全にレベルを上げつつ、確実に報酬を得られます」


ミラはカケルの肩に乗るワサビ君を一度見て、声を潜めた。


「魔石の精製も、森の中なら誰に見られる心配も減ります。ギルドへの報告も、私が調整して少しずつ提出するようにしましょう。そうすれば、急激な報酬の跳ね上がりも抑えられますから」


カケルはその提案に、目から鱗が落ちる思いだった。


「なるほど……。森なら茶渋ものびのび動けるし、いいかもしれない。ありがとうございます、ミラさん。助かります」


カケルはミラから差し出された『月見草の採取』の依頼書を受け取った。


「いえ、これも私の仕事ですから。……ただし、あまり奥へは行かないでくださいね。森は深部に近づくほど、魔物が強くなりますから」


ミラが釘を刺すように言うと、カケルは力強く頷いた。


新しい目標が決まり、カケルの足取りは昨日よりも少しだけ軽いものになった。


「よし、今日も頑張ろうね、ワサビ君」

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