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前世のペットを召喚できる俺、どの子もこの世界では規格外でした ~レベル解放で家族が増える召喚士~  作者: いたちのこてつ


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第27話 騎士隊公認の特別協力者

魔力枯渇による眠りから戻ったカケルは、まだ体の奥に重さを残しながらも数日ぶりに城塞都市リスティアの冒険者ギルドを訪れていた。


ギルドの重い扉を開けた瞬間、一斉に視線が集まるのを感じた。先日フォレストガーディアンを仕留めたという噂が回っているせいだろうか、自分だけじゃなく肩のほっぺも、腕のワサビ君も視線の的になっている気がした。


(……やっぱり、目立ってるな)


カケルは背中に刺さる視線をやり過ごし、受付へ足を進めた。


「カケルさん! もう動いて大丈夫なんですか?」


ミラが声を上げ、身を乗り出した。


「はい。まだ本調子ではありませんが、問題ありません。……今日は、ギルドマスターに報告したいことがあって来ました」


カケルがカウンターに提示したのは、リスティア騎士隊の紋章が刻まれた銀色の徽章と、騎士隊長エアリス・ヴァインの署名が入った書状だった。


ミラはそれを見た瞬間、目を見開いて書状に視線を落とし、次いで周囲を見回してから声を落とした。


「それ……騎士隊の「特別協力者」の証ですね。発行されるのは限られた人だけです」


ミラは書状を目で追うと、手早く畳んでカウンターの下へ隠した。


「おぅ、カケル! 来てたのか!」


奥の執務室から、ギルドマスターのヴォルガンが姿を現した。彼はカケルの手元にある徽章を一瞥すると、一度だけ頷き、豪快に手招きをした。


「ちょうどいい。今回のフォレストガーディアン討伐の報酬と、今後の扱いについて話がある。中へ入れ」


「単刀直入に言う。お前をCランクへ特例昇級させる。異論はねえな?」


ヴォルガンは机に新しい銀色のギルドプレートを置き、カケルを促した。


「Cランクか……。今までとは何が変わるんでしょうか?」


「単価も上がる。受けられる依頼の難易度も、施設の扱いも変わる。ただし中堅以上には「公的責任」がつく。災害や魔獣の大量発生がありゃ緊急招集。調査任務だの、他パーティとの連携だのも入ってくる。代わりに、仕事は優先的に回る。……悪い話じゃねえだろ?」


説明を聞き終えたカケルは、置かれたプレートを手に取ることなく静かに首を振った。


「……申し訳ありません。その昇級のお話は、辞退させてください」


「……何だと?」


ヴォルガンが眉を寄せた。横に控えていたミラも「えっ?」と声を漏らす。


「今のお話を聞いて、確信しました。俺にとっては、その『責任』が一番の懸念なんです」


カケルは、肩の上で羽を休めるほっぺの頭をそっと撫でた。


「俺は、あの子たちを守れる距離で暮らしたい。招集や強制任務で、望まない戦場に連れて行く可能性があるなら受けられません。Dランクであれば、依頼の選択権は俺にありますから」


ヴォルガンは呆れたように鼻を鳴らした。


「だが、お前の実力はすでに周知の事実だ。Dランクの看板のままだと、甘く見て寄ってくる連中も出るだろう」


「ですから、騎士隊長から頂いたこの『特別協力者』という立場を利用します」


カケルは銀の徽章を指差した。


「ギルドの招集よりも騎士隊の要請を優先するという建前があれば、外部からの面倒な誘いも断りやすくなります」


「……つまり、騎士隊の名前を『盾』にして、ギルドの責任を回避しつつ、自由なソロ活動を続けるつもりか」


「はい。あの子たちの安全と自由。それを守るためなら、俺はいくらでも臆病で利己的になれます」


ヴォルガンはしばらく沈黙を守っていたが、やがて「はっ」と短く笑った。


「……いいだろう。名誉よりも家族の安心か。お前らしいと言えばお前らしい。だがな、カケル。Dランクのままでいるということは、受けられる依頼の単価もそれなりだぞ?」


「構いません。あの子たちがのびのび暮らせる家を建てるための資金は、自分のペースで稼ぎます」


カケルは丁寧にお辞儀をして執務室を後にした。


ロビーに出ると、入り口付近で見覚えのある大男がこちらを待っているのが見えた。ベリックだった。彼の後ろには「鉄の牙」のメンバーも揃っている。


「カケル! 目覚めたって聞いて飛んできたぜ!」


ベリックが大きな手でカケルの肩を叩いた。先日までの死線が嘘のように、傷跡らしいものは見当たらず、動きも、少なくとも見た限りでは普段どおりに見えた。


「ベリックさん。皆さん、もう大丈夫なんですか?」


「ああ、ピンピンしてるぜ。……なあ、カケル。あの時は、本当にすまなかった。俺たちが不甲斐ないせいで、お前にあんな無理をさせちまった」


ベリックは深く頭を下げた。他のメンバーもそれに続く。


「……いえ、無事でよかったです。ベリックさんが持ち堪えてくれたから、俺も戦いやすかったんです」


「そう言ってくれると助かる。……お、おい、その徽章、騎士隊の協力者のやつじゃねえか! やっぱりお前、ただのDランクじゃなかったんだな」


ベリックが驚きながら徽章を指差すると、カケルは少し困ったように微笑んだ。


「これからは、この『盾』を使って、またのんびりやらせてもらうつもりです」


「ははっ、お前らしいな! 借りはいつか必ず返す。何かあったら、いつでも俺たちを呼んでくれ」


彼らとの再会に胸の奥が少しだけ軽くなった。カケルはそのままギルドを後にした。


街を吹き抜ける風が心地よかった。


魔力に余裕が戻ってきたのを確かめてから、カケルは念じた。影の中から茶渋が、足元からキョロとチョロが姿を現した。


「……帰ろうか。今日は茶渋の大好きな肉を買って帰ろう」


茶渋は嬉そうに尾を立ててカケルの脚に身体を擦り付けた。

執筆の励みになりますので、続きを読みたいと思っていただけたら、ぜひブックマークよろしくお願いします!評価もいただけると嬉しいです。


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