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前世のペットを召喚できる俺、どの子もこの世界では規格外でした ~レベル解放で家族が増える召喚士~  作者: いたちのこてつ


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第16話 騎士隊長からの誘いと、炸裂する愛

「……おや、カケルくん。やはり君だったか」


冒険者ギルドの喧騒を分けるようにして、一人の騎士が歩み寄ってきた。城塞都市リスティアの騎士隊長、エアリスだ。


入街の際に偶然助けて以来、市場で自分の食事を削ってまで敷物を優先していたカケルの姿が、エアリスの記憶には妙に印象深く刻まれていた。


ギルドに用件のあった彼は、受付で依頼を終えたばかりのカケルの後ろ姿を見つけると、穏やかな微笑みをたたえて声をかけた。


「あ、隊長さん。お久しぶりです。その節は、入街の際に助けていただき、本当にありがとうございました。……今日は、どうしてこちらに?」


「いや、君がこの街での生活に困っていないか気になったんだ。私も今しがた用件を済ませたところでね。……ちょうどいい時間だし、もし良ければ食事でもどうだい? 騎士団も行きつけの、とびきり美味い肉とエールを出す店を知っているんだ」


「ええっ、隊長さんとですか?」


カケルは恐縮したが、エアリスの物腰はあくまで柔らかく、押し付けがましさのない温かさがあった。ミラに「隊長様のお誘いですから、ぜひ」と、どこか応援するような穏やかな笑みで見送られ、カケルは彼に同行することになった。


案内されたのは、騎士たちも御用達の落ち着いた酒場だった。運ばれてきたキンキンに冷えたエールと、この店の名物である「厚切りロースト肉のハーブ添え」を前にして、エアリスはようやくカケルの肩で静かに揺れる小さな影に視線を止めた。


「……ところで、その肩に乗っている不思議な生き物は何だい? 入街の時には見かけなかったけれど、君の連れなのかな。……リスティアでは、いや、他でも見たことがない姿だ」


その問いかけは、純粋な好奇心からくる、至極まっとうなものだった。


だが、その瞬間。カケルの瞳に、これまでの控えめな青年とは明らかに違う、鋭く熱い「光」が宿った。


「……よくぞ聞いてくれました、エアリスさん。ええ、この子はワサビ君。俺のかけがえのない家族であり、世界最高のパートナー……俺の召喚獣です」


「召喚獣……。なるほど、君の連れだったんだね。こんな姿の生き物は初めて見たよ。……それにしても、急に顔つきが変わったね……」


エアリスは少し圧倒されつつも、興味深そうに頷いた。しかし、カケルの勢いは止らない。


「こいつは俺の故郷の言葉で『カメレオン』という、トカゲの仲間の生き物なんです。見てください、この皮膚を。周囲の環境に溶け込みつつ、今しがたエアリスさんの優しい気配を察知して、最もリラックスした『安らぎの緑』を見せているんです。この発色の繊細さ、分かりますか? どんな高価な宝石だって、この生命の輝きには及びませんよ」


「は、はあ。確かに綺麗な色だが……」


「さらにこの目です! 左右が独立して動き、360度すべてを視界に収める。これは単なる索敵能力じゃない。彼が俺を、そして周囲の仲間を『絶対に見逃さない』という深い信頼の証でもあるんです。それにこの指先!ミトンのような可愛い形状、 肩を掴む時のこの絶妙な力加減、これこそがワサビ君の優しさの現れであって――」


カケルは身を乗り出し、ワサビ君の魅力を語り続けた。獲物を捕らえる舌の速度がどれほど神がかっているか。眠っている時の尻尾の巻き加減がどれほど芸術的か。


さらに話は最近加わった猫の茶渋や、オカメインコのほっぺたちの話にまで及び、彼らの囀りの音色がどれほど澄んでいて、聴いているだけで魂が洗われるような心地になるかについて、一万字あっても足りないほどの熱量で捲し立てた。


「……カケルくん。少し、落ち着こうか」


エアリスは困ったような、それでいて楽しそうな苦笑いを浮かべ、自分のエールをカケルの方へ押しやった。最初は「少し風変わりな新人」だと思っていたが、目の前にいるのは、愛する存在を語り始めたら周囲が見えなくなる、生粋の「動物愛好家オタク」だった。


だが、エアリスは不思議と嫌な気はしなかった。


(……面白い。これほどまでに打算なく、純粋な情熱を誰かのために注げるというのは、実に素晴らしいことだ)


カケルの熱弁を一通り聞き終えた頃には、せっかくの肉料理もすっかり冷めていたが、二人の間の空気はどこか温かいものに変わっていた。


「……すみません。つい、あの子たちの素晴らしさを伝えたくて、長々と……」


「いや、構わないよ。君のワサビ君への愛は、十分すぎるほど伝わった。……正直に言えば、これほど熱心に『家族』を愛せる人間なら、私は信頼できると思ったよ」


エアリスは優しく笑い、カケルのグラスにエールを注ぎ足した。圧倒されはしたが、騎士隊長の中でカケルの評価は「得体の知れない召喚士」から「愛すべき、熱すぎる飼い主」へと確定した。


「カケルくん。よかったらまた、こうして話をしよう。君の家族たちの話も、もっと聞きたいしね」


「隊長さえよければ……。ぜひ、お願いします!」


夜のリスティアに、二人の笑い声が響く。騎士隊長エアリス。彼との出会いは、カケルにとって王都での生活を支える大きな支えとなっていくのだった。

執筆の励みになりますので、続きを読みたいと思っていただけたら、ぜひブックマークよろしくお願いします!評価もいただけると嬉しいです。


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