グレート・ボス
暗闇から響いた怒号が場の空気を一変させた。
マヒロの記憶の中にいる矢口は、目立ちたがりでイキり倒していた中学時代のヤンキー。矢口の「ツレ」だった石田とは同い年で、何人かの所謂不良とつるんでいる姿が日常だった。
だが、今目の前に立つ矢口は、当時のイキりヤンキーとはまるで別人だった。
(でかくなっただけじゃねえ……こいつ、死ぬほど鍛えたんだな)
「てめえ、何やってんだ!」
矢口の怒声が響くと、石田は肩を震わせながら振り返った。
「キョウゴ、でもこいつが――」
石田が言い訳を始めるが、矢口は冷たく遮った。
「言い訳すんなよ、お前。曲がったことは嫌いだって、俺が何回も言ってたよな?」
矢口の目は鋭く、石田を射抜くようだった。
「だ、だってこいつが……お前を……」
石田が小さな声で抗議しようとするが、矢口はそれを一笑に付す。
「あれは俺が勝手にやられただけだ。むしろ感謝してるくらいだ。あの日がなけりゃ、俺は、ただのクソみてえなイキり野郎で終わっていた」
その言葉に、マヒロは目を見開いた。
(俺に感謝?……こいつ、何言ってんだ)
「リハビリやトレーニングだって地獄だった。でも、おかげで今の俺がいる。だから、あの日の借りを返すつもりなら、こいつに手を出すのはやめろ」
矢口の静かな怒りに満ちた声は、完全に石田を黙らせた。
「……くそっ」
石田は下を向き、舌打ちをする。
「リョウタ、覚えとけ。人に手を出すときは、自分が貫きたい信念があるときだけにしろ。それができないなら、大人しくしておけ」
石田は顔を伏せたまま舌打ちした。
「助かった……のか?」
マヒロはまだ緊張を解けないまま、矢口を見つめた。
矢口はゆっくりと石田に近づくと、震えながら立ち尽くすミホに目を向けた。
「……その子、怯えてんじゃねえか」
次に視線を横にずらし、平然と状況を見ているサクラを見つめる。
「お前は。……そうか、面白がってんだな」
サクラはぺろっと舌を出して悪戯っぽく笑った。
最後にマヒロに目を向け、鋭い声で問いかけた。
「で、お前は?こいつらと何があった?」
矢口の視線を受けたマヒロは、小さく息を吐いた。
「……そっちこそ、何しに来たんだよ」
矢口はそれには答えず、もう一度全員を見回した後、静かに言った。
「全部話せ。聞かせてもらうぞ」
みなさん、こんにちは!いつも読んでいただきありがとうございます!
こうして皆さんに物語をお届けできるのは、本当に幸せなことだと感じています。感謝の気持ちでいっぱいです!
この物語は定期的に更新を目指しており、皆さんと一緒に成長していきたいと考えています。少しでも続きが気になるような展開をお届けできたら嬉しいです!
ちなみに、途中で「あれ?前に読んだ内容がちょっと変わってる?」と感じることがあるかもしれません。それは物語の本筋を変えない範囲で、文章や展開をブラッシュアップしているからです。より楽しんでいただけるよう、細かい部分をちょこちょこ改稿するのが作者の趣味なんです(笑)。
そして最後に……
いいねやコメント、本当に励みになります!
いただけると「次の更新もがんばるぞー!」ってやる気がグンとアップします。どんな感想でもいいので、気軽にひとことでも残してもらえると嬉しいです!
それでは、今日も物語の世界へどうぞ!
お楽しみいただけますように!