話したかった理由
矢口の鋭い視線が場の全員を圧倒する中、サクラが一歩前に出た。
「私が説明するよ。だってミホ、震えてて――」
しかし、矢口は手を挙げてサクラを制した。
「いや、お前は黙ってろ」
「え?」
サクラが目を丸くすると、矢口は優しく、しかし力強い声でミホに向き直った。
「おい、そこのお嬢さん。お前の口から話してくれ。何があったのか、ちゃんと聞きたい」
ミホは怯えたように矢口を見つめた。矢口はふっと表情を和らげる。
「安心しろ。俺は誰の味方でもない。ただ、このままじゃお前も気持ち悪いだろ?」
「で、でも……」
ミホが小さく呟くと、矢口はさらに続けた。
「いいんだ。何があったのか、ちゃんと話してくれたらそれでいい」
その言葉に、ミホはしばらくためらったが、やがて小さな声で話し始めた。
石田と出会った経緯と、そしてそれから何があったのか。
矢口は静かに頷きながら聞いていたが、ミホの視線が石田に向いたとき、矢口はその視線の先を追った。
「しつこく付きまとってたってのは、どういう意味だ?」
ミホが答えようとしたその瞬間、石田が割り込むように言った。
「いや、それはだな――」
「黙れ」
矢口の一言で、石田は口をつぐんだ。
ミホは再び口を開いた。
「……毎日のように『付き合え』って言われて、それで断ったら……腕を掴まれたり」
矢口は目を細めて石田を睨む。
「なるほどな」
石田は焦ったように頭を掻きながら、下を向いている。矢口は足元に転がっているビニール袋を拾い上げると中を確認した。
「どうやらリョウタの馬鹿野郎も、悪気があったわけではないようだな」
矢口が袋の中を覗くと、そこには小さな箱に入ったクッキーとメモがあった。
メモには「迷惑をかけたお詫び」と走り書きされている。
矢口は袋をミホに差し出した。
「受け取るかどうかはお前次第だ。ただし安心していい。これ以上しつこくされたら、俺が許さねえ。いいな、リョウタ」
石田は悔しそうに顔を歪めたが、矢口の目を見て何も言えなかった。
ミホは驚きで目を丸くしながら袋を受け取り、小さく頷いた。
「……ありがとうございます」
矢口はそれを確認すると、マヒロの方へ向き直った。
「さて、とりあえずこの件はこれで終わりだ。あとの始末は俺がつける。だが――」
矢口の視線が鋭くなる。
「マヒロ、話がある」
「……なんだよ」
マヒロは面倒そうに言いながらも、矢口の様子をじっと見た。
「単刀直入に言う。タイマンだ。お前と俺で、一対一でやらせろ」
その言葉に、一同が驚きの表情を浮かべた。
「……は?」
マヒロに向ける矢口の視線は真剣そのものだった。
みなさん、こんにちは!いつも読んでいただきありがとうございます!
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この物語は定期的に更新を目指しており、皆さんと一緒に成長していきたいと考えています。少しでも続きが気になるような展開をお届けできたら嬉しいです!
ちなみに、途中で「あれ?前に読んだ内容がちょっと変わってる?」と感じることがあるかもしれません。それは物語の本筋を変えない範囲で、文章や展開をブラッシュアップしているからです。より楽しんでいただけるよう、細かい部分をちょこちょこ改稿するのが作者の趣味なんです(笑)。
そして最後に……
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