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俺が強すぎて人生ハードモード  作者: 雨宮悠理
Phase3 動乱の学園
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歪む空間、始まる攻防

 イザヤが拡声器を口元に持ち上げた瞬間、空気が変わった。


 視界が揺らぎ、足元がふわりと浮き上がるような感覚に襲われる。マヒロは咄嗟に膝を曲げ、重心を低くしてバランスを取った。だが、生徒たちはその異常に対応できず、あちこちでよろめき声を上げる。


「さて――そろそろ楽しませてもらおうか?」


 イザヤが拡声器を掲げた瞬間、異様な緊張感が走った。


 次の瞬間、地面全体が揺れるように歪んだ。床と壁の境界が曖昧になり、上から差し込む光が滲む。生徒たちは、その異常さに次々と悲鳴を上げた。


「ひっ、何これ!?」


「足が、浮いて……!」


 先程マヒロに詰め寄っていた生徒の一人が、不自然な角度で宙に浮き上がった。顔は恐怖に引き攣り、力なく宙を泳ぐ手足が必死にもがいている。


「おい、助け――!」


 その叫びは、途中で掠れて消えた。空間にねじ込まれたような不気味な音とともに、生徒の体がイザヤの方向に引き寄せられていく。


「っくそ!」


 マヒロは咄嗟に駆け出し、生徒の進路に立ちはだかった。


 宙に浮いていた体が、次の瞬間、重力を取り戻したように急激に落下する。

 それを見たマヒロは迷わず両腕を広げ、勢いよく突っ込んできた体を抱き留めた。


「ぐっ……!」


 思わず呻き声が漏れる。信じられないほどの重さ――まるで彼の体重が数倍になったかのようだ。


「淡海……君……」


 震える声が聞こえた。抱き留めた男子生徒は恐怖で顔が蒼白になり、全身が小刻みに震えている。


「怪我してねえか!」


 マヒロが短く問いかけると、男子生徒はぎこちなく首を振った。


「た、助けてくれ……!」


 その声を皮切りに、周囲にいた生徒たちも次々と悲鳴を上げる。


「淡海君、私も……!」


「お願い、助けて!」


 さっきまでマヒロを怖がっていた生徒たちが、一斉に彼に縋りつくような目で助けを求めてきた。その様子を見て、イザヤが薄ら笑いを浮かべる。


「ふーん、意外だね。君、普段は怖がられてるんじゃないの? でもこういう状況になると、やっぱり頼られちゃうんだねえ」


 挑発めいた口調に、マヒロの眉間が僅かに寄る。


「……てめえ、ふざけるなよ」


 イザヤが再び手を振ると、別の生徒たちが宙に浮かび上がる。今度はその動きが速く、真っ直ぐマヒロの方に飛んできた。


「くっ!」


 マヒロは最初の生徒を地面に下ろすと、次に飛んでくる生徒の方に向かって飛び出した。


 まるで投石機から放たれた弾のようなスピードだ。マヒロは全身にタイタンを込め、飛び込んでくる体を両腕で受け止めた。


「ぐあっ……!」


 衝撃が全身に伝わり、腕が軋む。だが、その生徒が無事であることを確認すると、すぐに次の生徒を追うために動き出した。


 次々と降り注ぐ「人間の雨」。マヒロはその全てを受け止め、守り続ける。


「へえ、頑張るじゃん。でも――いつまで持つかな?」


 イザヤが拡声器越しに軽口を叩く。その言葉通り、マヒロの体力は着実に削られていった。


「……薄ら笑いしやがって!こんなことして何が楽しいんだよ!」


 マヒロが歯を食いしばりながら叫んだ。


 イザヤはその問いに、肩をすくめながら応じる。


「楽しいかどうかなんて関係ねえよ。ただ――これが俺のやり方なんでね」


「……お前のせいで、関係ない奴らが巻き込まれてんだぞ!」


 マヒロの声が一段と大きく響く。拳を強く握り締め、血管が浮かび上がるほどだ。


「ふふ、だったら助けてみせれば? それが君の“正義”ってやつだろ?」


 イザヤは飄々とした態度を崩さない。その言葉に、マヒロの中で怒りがさらに燃え上がる。


「ふふ、そろそろ疲れてきたんじゃないの?」


 イザヤの声が拡声器越しに響く。彼はその場から一歩も動かず、まるで観客席に座っているかのような気楽さだった。


「くっ……!」


 マヒロは荒い息を吐きながら縦横無尽に走り回る。イザヤはわざと焦らすように指をゆっくり鳴らす。マヒロはとっくにタイタンを解放していたが、無関係な生徒を傷付けまいと余計なエネルギーを使っていた。


「あー、暇やな。そろそろ飽きてきたわ。お前期待外れやわ」


 イザヤはわざとらしく大きく欠伸する。


「やることないから、そろそろ終わりにするわ。俺の素晴らしきタイタン、"アーカイブ"でね」


「…………なんだと」


 イザヤは指を鳴らすように手を振り、周囲の歪みがさらに激しくなった。

 マヒロの目の前で、また地面が波のように揺れる。そして突然、別の生徒たちがうねる霧に引き寄せられた。


「おっとっと、そっち行っちゃダメだろ?」


 マヒロは歪んだ空間の中で足を踏みしめ、再び生徒たちを助けようと動き出す。


「いいねえ、その必死な顔。でもね、これだけじゃないんだよ」


 イザヤが指を振ると、霧がどんどんと深くなり、白くふわふわしていた蛇のような霧は、よりその造形を深く細かくしていく。


「さあ、もっと見せてくれよ。君の限界ってやつをさ」

みなさん、こんにちは!いつも読んでいただきありがとうございます!


こうして皆さんに物語をお届けできるのは、本当に幸せなことだと感じています。感謝の気持ちでいっぱいです!

この物語は定期的に更新を目指しており、皆さんと一緒に成長していきたいと考えています。少しでも続きが気になるような展開をお届けできたら嬉しいです!


ちなみに、途中で「あれ?前に読んだ内容がちょっと変わってる?」と感じることがあるかもしれません。それは物語の本筋を変えない範囲で、文章や展開をブラッシュアップしているからです。より楽しんでいただけるよう、細かい部分をちょこちょこ改稿するのが作者の趣味なんです(笑)。


そして最後に……

いいねやコメント、本当に励みになります!

いただけると「次の更新もがんばるぞー!」ってやる気がグンとアップします。どんな感想でもいいので、気軽にひとことでも残してもらえると嬉しいです!


それでは、今日も物語の世界へどうぞ!

お楽しみいただけますように!

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