分断の狭間で
廊下を進む一行は、異様な静けさに包まれていた。蛍光灯がチカチカと不規則に瞬き、足元から響く靴音だけが、やけに大きく耳に残る。薄暗い蛍光灯が頼りない光を投げかける中、進むべき方向が分からず、誰もが口を閉ざしている。
「……どうする?」
沈黙を破ったのはマヒロだった。周囲を警戒するようにキョロキョロと視線を動かしながら、後ろのサクラに問いかける。
「どうするって言われても、行くしかないでしょ。でもどこに行けば……」
サクラも曖昧に言葉を濁す。
「先生もいないし、携帯も繋がらない。完全に孤立してるな。」
一行は廊下の先を見据えたままだった。特に手がかりがあるわけでもない。ただ、立ち止まるわけにはいかない気がして足を動かしている。
「――こっちです。」
突然、ルナが静かな声で口を開いた。
一行が振り返ると、ルナはいつもの冷静な顔のまま、廊下の奥を指さしている。
「ルナ、どうして分かる?」
マヒロが目を丸くして訊ねる。
「なんとなく、ですけど。」
ルナは少し俯きがちに答える。けれど、その声には確信めいた響きがあった。
「確かに根拠はありません。でも……そっちから、何かが呼んでいるような気がします。」
ルナの視線は真っ直ぐで揺るぎない。彼女の指先は、薄暗い廊下の奥へと伸びている。
「呼んでいる……?」
サクラが訝しげに眉を寄せた。
「……わからない。けど、もしこの現象を誰かが引き起こしているとしたら、きっとそこにいるはずです。」
ルナが付け足すように言うと、今度はカイがうなだれるように顔を俯けた。
「俺も……同じ感じだ。」
重々しく呟くカイに、一行は目を見張る。
「お前も?」
マヒロが少し驚いたように訊ねた。
「ああ……。なんか、よくわからんのだけど。そっちの方からざわざわする。気持ち悪いっつーか、嫌な感じ。」
カイは不快そうに肩をすくめる。
「じゃあそっちの方向に行ってみるしかないよね。」
サクラが頷き、少し前のめりに歩き出す。普段の快活な表情は消え、少し顔を曇らせていた。
理解の及ばない不安を抱えながら、一行は無言で進んでいた。そんな時だった。
「ウェルカム、タイタニアの皆さん!」
突如、スピーカーから軽薄な声が響いた。廊下中に反響し、誰もが一瞬動きを止める。
「な、なんだよこれ?」
カイが不安げに辺りを見渡す。
「さあ、旅する一行は無事に聖地に辿り着くことはできるのだろうか!」
声の主は、まるで愉快なショーの司会者のようにしゃべる。軽い調子だが、その裏には嘲笑が込められている。
「誰だ!」
マヒロが叫ぶ。だが答えはなく、代わりに大きな笑い声が響いた。
「準備はいいかい? 一緒に楽しいゲームを始めようか!」
その瞬間、足元に異変が起きた。廊下の床が微かに揺れ始め、次第に大きな振動に変わる。
「揺れてる……!」
サクラが壁に手をついてバランスを取る。
「走れ!」
マヒロが叫んだが、足元の揺れはさらに激しさを増し、床板が波打つように変形していく。そして――
「うわっ!」
カイが最初に声を上げた。床が突然、真っ二つに裂けたのだ。暗闇が裂け目の下に広がり、見たこともない深い闇が口を開けている。
「何だよこれ!」
マヒロが叫びながら振り返るが、その瞬間、裂け目の中へと足を滑らせた。
「マヒロ君!」
サクラが手を伸ばすが、すでに遅い。マヒロの体は闇へと消えていった。
みなさん、こんにちは!いつも読んでいただきありがとうございます!
こうして皆さんに物語をお届けできるのは、本当に幸せなことだと感じています。感謝の気持ちでいっぱいです!
この物語は定期的に更新を目指しており、皆さんと一緒に成長していきたいと考えています。少しでも続きが気になるような展開をお届けできたら嬉しいです!
ちなみに、途中で「あれ?前に読んだ内容がちょっと変わってる?」と感じることがあるかもしれません。それは物語の本筋を変えない範囲で、文章や展開をブラッシュアップしているからです。より楽しんでいただけるよう、細かい部分をちょこちょこ改稿するのが作者の趣味なんです(笑)。
そして最後に……
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それでは、今日も物語の世界へどうぞ!
お楽しみいただけますように!




