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白の魔導書と魔物使い  作者: 村野貴里
第一章 誕生
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九話 友達

些か年齢の割にみんな大人びて見えるのは、ご愛嬌です。



「聞こえなかったの……? いいわ! もう一度言ってあげる! あなたをわたしたちのお友達にしてあげるわ!」



 僕が黙っているのが衝撃を受けて惚けていると勘違いをしたのか、黒髪の少女──カレンはもう一度同じ言葉を口にした。


 堂々と言い放った割には、すぐにそわそわと落ち着かなそうに目線を泳がせているんだけど……。あ、若干「ううぅ……」とか言ってカレンが涙目になってきた。返答が来ないから不安なのかな?


 とりあえず、友達になる分にはなんの問題もないのでここは了承しておくかな。



「うん。お友達ね! 僕、初めてお友達出来たよ。いやぁ、嬉しいなぁ! あはは……」


「そ、そうよね! うん! これであなたもわたしたちのお友達よ!」



 そう言って満面の笑みを浮かべるカレンは僕の手を握りぶんぶんと上下に揺さぶった。


 それよりも、カレンは「へんきょうはく」と言っていたが、「辺境伯」の娘、つまり僕みたいな平民から見たらとんでもなくお嬢様になるんじゃないか? これは丁寧な言葉使いではないとダメなのかな?


 僕が考えていることをカレンが察したのか、



「わたしたちはお友達! お友達はたいとうでなくちゃならないんだからっ! おとうさまも言ってたもん!」


「そ、そうだよね。よろしくね、カレンちゃん」


「うん! よろしく!」



 こうして僕に初めての友達ができたわけだが、あとの二人は?



「カレンちゃん、後ろの二人は?」


「ん? そうね! この子たちも紹介しなくちゃ! わたしの後ろに隠れている女の子がアイラ。そっちの男の子がユーマよ! ほら、二人とも、自己紹介しなさい!」



 カレンに言われた二人は、並んで僕の前に出てきた。

 最初に口を開いたのは、小動物系美少女のアイラだった。



「あっ、あのあのっ! わたし! アイラ=ユーランっていいます! さんさいです! よ、よろしくおねがいしますっ!」



 一通り言い終わると、アイラはガバっと頭を下げた。なんだが、僕って怖がられてる?


 次はユーマという子が話だした。



「ユーマ=サトーン。カレンちゃん達と同じ三歳。よろしく」



 少し愛想に欠けるが、デフォルトでこんな感じなんだろうな。別に僕に敵意を持っているって感じでもないし。



『良かったな、相棒。俺様以外にも話し相手が出来て。客観的に見てだが、魔書である俺様と話すお前は気色が悪い子供だったぞ』


(アハハハ、お前が元凶でそうなってるんだよ!)



 ステインからの念話に応えていると、カレンが話を振ってきた。



「ねぇ、ユキトはずっとここで何をやってたの?」


「た、確かに……。わたしにはただぼーってしてるふうにしかみえなかったよ」


「一緒に遊んだ方が楽しい」



 どうやら、僕が川の辺からずーっと動かずにいたから、遊びたい盛りの三人には退屈しているんじゃないかと思われていたらしい。


 なんて、説明したものか……。修行中だったんだよと言ってもいいが、子供相応さが大切だよな。


 なら、この理由しかない!



「川を泳ぐ魚が美味しそうで……。ずっと見てたんだ!」



 言い放った途端、なんか場の時間が止まった。


 カレンがしょうがない人を見るような目でこちらを見ながら諭すように言った。



「この辺りの魚は魔素を含み過ぎて、にんげんには食べられないのよ。もし食べたら、お腹をこわしたり、へんな病にかかったりしちゃうんだから!」


「こ、子供でも知ってるじょうしきですっ!」


「気を付けなよ」



 おぉっと、半分冗談で言ったのにマジレスが返ってきた。友達の心配をするこの子達の心の優しさ……。大人になってもこのままでいてほしいものだなぁ。


 そうだよねー。僕も生半可な調理をして寄生虫とかに当ったら怖いし。ん? この世界に寄生虫っているのかな?


 でも、この川の水めちゃくちゃ澄んでるんだよなぁ。陽の光を浴びて水面がキラキラと光ってるし、とっても幻想的だなぁ……。



 ん? なんか今、水中におかしなものが……。



「カレンちゃん、水中になんか魚じゃないものがいるっぽいんだけど……」


「え? そりゃいるわよ。ちょっとした魚類系の魔物ならよくいるし」


「アレも魚類系の魔物?」



 僕が指差す水中には、直径十五センチほどのフニャフニャした川の水よりも濃い水浅葱色の物体がいた。



「あ、あれは……」



 カレンはそいつを見ると焦燥へと顔色を変えた。と思ったら、すぐに後ろの二人に向かって指示を飛ばした。



「アイラ! ユーマ! スライムよ! すぐに戦う準備を!」


「っ! わ、わかった!」


「よし!」



 指示を飛ばされた二人は、腰ベルトに繋いであったブックホルダーから、自身たちの魔書を取り出した。


 唐突に蚊帳の外になった僕は困惑した。スライム? あのRPGでも最弱とさえ揶揄されるほとんどマスコット的な存在が、カレン達がこんなに警戒をするほどの存在なのか?


 すると、カレンが指示を飛ばして後ろの二人に気を取られている一瞬の隙に水中にいるスライムが突然水中から飛び出してそのままカレンに向かって飛んでいく。


 カレンも、後ろの二人も気づいたが。間に合わない。



 くそっ! せっかく友達ができたっていうのに! その友達すら護れないでどうする! 互いに大切にしてこその、友達だろうが!



 僕は、目の前で傷つきそうになっている友達を……護る!

誤字等がありましたら、ご指摘お願いします。

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