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「皆さん!私達はノットファーストクローバーです!」
「です」
京愛が普段見せない愛嬌を振りまいてそう言って列の中に飛び込んでいく。
蒼ちゃんも何だかんだ慣れた様子で同じ様に手を振って別の列の間に入っていく。
はへー、みんな凄いなぁと思っていると、ポケーっとしてるのを京愛が目ざとく見つけたらしく、
「おいそこ!合わせろ〜!」
「……おー?」
中々無茶を仰られるので、よく分かんないなりに手を伸ばしてみる。
……あ、なんか受けた。
受け入れられる、受け入れられたと感じると心が軽くなって、体も軽くなった気分になる。
今回は全く力を入れずとも歩き出せた。
手を振って歩いてるだけ。
それでも注目はされる。
けれど、それが私の仕事。
女の子やちっちゃい子を見つけると近寄って手を振ったり、ハイタッチしてみた。
みんなニッコニコでこっちまで嬉しくなる。
決して、男の人が怖い訳じゃない。
坂の下まで歩いて、また登る。
長くないけど、疲れてきて。
でも、京愛に言われた。
「絶対に疲れた様子は見せんなよ」と。
だから膝に手を置きたい気持ちを堪えて、手を振り続ける。
京愛がMCとしてずっと喋ってくれて、私と蒼ちゃんが振られた時に答えつつ、往復が終わる。
「では、一旦さよなら!」
「「さよーなら」」
打ち合わせ通りに京愛がお辞儀をして、私と蒼ちゃんがその前で手を繋いでお辞儀をする。
自然と拍手が起きて、それが拡がって、本当にファンみたいだと思いつつその場を後にする。
「ふぇぇぇ、緊張した」
「した」
「フン、上出来、上出来!」
「京愛ってなんでも出来るね」
「必死だからな!」




