表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
87/285

第6回

第7話・瑠菜 ルーカス(ルナ ルーカス)と古寺 佳奈(コデラ カナ)


**** 7-06 ****



「その話なら、大体同じでいいと思う。」


「そう?なら、良かった。」


 瑠菜の返事を聞いて、維月は胸を撫で下ろす心境で微笑むのだった。それに対し、瑠菜が語り出す。


「大体、わたしって中途半端なのよね。お母さんに似て、背は低いし、顔も何方どちらかと言うと日本人に近いでしょ。髪の毛と瞳と、肌の色だけ、お父さんに似ちゃったのよね。」


 今度は樹里が、真面目な口調で言葉を返す。


「あら、色白なのはうらやましいじゃない?髪の色だって、黒髪は重い感じがするから、明るい色に染めたい人は多いだろうし。まぁ、学生の内は校則で禁止されてるから、みんな出来ないけど。」


 すると、維月がそれに続く。


「瞳の色も、コンタクトで変えたりする人も居るものね。そう言う人達からすれば、瑠菜さんは中途半端って言うより、むしろ、理想的なんじゃない?」


「残念ながら、そう言う人達とは趣味が合いそうもないなぁ。わたしからすれば、みんなみたいな黒髪や黒い瞳がうらやましいもの。」


 瑠菜が返した、その言葉を聞いて、佳奈がポツリと言った。


「結局、無物強請ないものねだりなのよね~。」


 くすりと樹里が笑うと、瑠菜と維月は互いの顔を見合わせ、次いで、それぞれが佳奈の方へと顔を向けた。

 その反応には、佳奈の方が驚いたのだった。


「何?わたし、何か変な事、言った?」


「あ、いえ。むしろ、物凄く的確。」


 驚いて目を丸くしている佳奈に、そう維月が答えると、瑠菜が続いた。


「佳奈さんにしては、突っ込みが的確過ぎて、ちょっと驚いた。」


「あぁ~何よ~ひどいなぁ。」


「だから、佳奈ちゃんは頭が悪いわけじゃないって言ったでしょ?」


 相変わらずのニコニコ顔で、樹里は瑠菜にそう言って、又、微笑むのだった。


「そうね、今、実感した。早い内に認識を改める事が出来て良かった。」


「わたしは、佳奈ちゃんの同室の人が、話の通じない人だったらどうしようって心配だったんだけど。瑠菜さんで良かった、安心した。」


「うふふ、そうだね~樹里リン。」


 そう言って、樹里と佳奈の二人はクスクスと笑うのだった。そこで、維月も安心した様に言う。


「取り敢えず、わたしも、早々に上手くやって行けそうな人達と出会えて、良かった。」


「それは、わたしも同感。学科は違うけど、よろしくね、井上さん。城ノ内さんも。」


 瑠菜が微笑んでそう言うと、かさず、維月が言葉を返す。


「あ、どうせだったら、名前の方で呼んで貰えると嬉しいな。特に、瑠菜さんとは、同じ、月関係の名前だから。」


「月関係?」


 不可解な維月の言動に、瑠菜は直様すぐさま問い返した。


「瑠菜さんのお父さんは英語圏の人だから、『Luna』は月の女神の事でしょう?ローマ神話だっけ。」


「あぁ、わたしが生まれたのが、満月の夜だったらしいの。その夜の月が綺麗だったから、それにちなんで『ルナ』にしたんだって。漢字では『瑠璃色』の『瑠』に『菜の花』の『菜』なんだけど、この字を当てたのはお母さん。」


「じゃ、瑠菜さんの名前、アルファベットで書く場合は『R』じゃなくて『L』なのね?」


 話の成り行きを聞いていた、樹里が口を挟む。


「うん、そうそう。言われてみれば、確かに、わたしの名前は月関係だけど、井上さんは?」


「わたしの『イツキ』って、『維新』の『維』に、『三日月』の『月』って書くのよ。ね、月関係でしょ。」


 その回答に、先に反応したのは樹里である。


「あぁ、『イツキ』って、そう書くのね。わたしはてっきり、わたしの『樹里』の『じゅ』一文字で『イツキ』だと思ってた。」


「あぁ~実は、わたしが男だったら、そうなってたらしいのよね。うちは五人姉妹で、わたしが一番下なんだけど。両親は流石に五人目は男の子だと思って、男子の名前しか考えてなかったらしいのよね。残念ながら結局、五人目も女子だったわけだけど、幸い『イツキ』は男女どっちでも行ける名前だからって、そのままわたしの名前になったの。ただ、『樹木じゅもく』の『じゅ』一文字の『イツキ』だと、流石に男っぽいから、『維』と『月』を当てた方に変えたんだって。あと、うちの姉妹には、名前が尻取りになるって、謎ルールが有ってね…。」


「尻取り?」


 樹里が、不審に聞き返した。


「長女は、両親の名前から一文字ずつ取って『麻里』なんだけど、その下が『里奈』『奈未』『未維』と続いて、わたしが『維月』になるわけ。」


 そこで瑠菜が机の引き出しを開け、メモ紙とペンを取り出すと、維月に渡して言うのだった。


「ごめん、ちょっと書いてみて貰える?」


「あぁ、いいよ。」


 紙とペンを受け取った維月は、両親の名前『麻敏』と『里子』を並べて書き、以降に姉妹の名前を列挙する。そして、その紙を瑠菜へと、差し出した。


「書くと、こんな感じ。」


 受け取った紙片を、佳奈と樹里も立ち上がって、瑠菜の横からのぞき込むのだった。そして、瑠菜がず、声を上げる。


「あぁ、凄い。漢字でも尻取りになってるんだ。」


「ホントだ~。」


 無邪気に感嘆の声を上げる佳奈の隣で、樹里は維月に問い掛けるのだった。


「『イツキ』ってフラットな発音だと思ってたけど、この字だと、『イ』にアクセント?が来るのかしら。」


「あぁ、家族からは、『イ』が強いイントネーションで呼ばれるよね。え~と、動物の『タヌキ』と、同じイントネーション。」


()ヌキ…()ツキ…ふぅん、次から気を付けるね。」


「いいよ、そこまで気を遣わなくても。呼びやすい様に、呼んでくれたら。」


 そんな、樹里と維月の遣り取りを横目で見つつ、瑠菜が声を上げる。


「取り敢えず分かった、維月さんに、それから、樹里さん、ね。」


「さん、何て付けなくてもいいよ、わたしは。」


 と、維月は瑠菜に提案するのだが、それには瑠菜が遠慮を示すのだった。


「そう言われても。…まぁ、慣れたら考える。」



 こうして、瑠菜は佳奈と樹里、そして維月と出会ったのだった。

 この後、四人は夕食の時間まで「おしゃべり」を続け、そのまま夕食も共にしたのである。入学式は明後日の予定で、翌日は休日扱いだった事もあり、四人は街へと不足分の日用品を買い足しに出掛けたりもした。

 四人の天神ヶ崎高校での寮生活は、こんな具合に大きなトラブルも無く、スタートしたのである。




- to be continued …-




※この作品は現時点で未完成で、制作途上の状態で公開しています。

※誤字脱字等の修正の他に、作品の記述や表現を予告無く書き換える事がありますので、予めご了承下さい。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ