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第5回

第7話・瑠菜 ルーカス(ルナ ルーカス)と古寺 佳奈(コデラ カナ)


**** 7-05 ****



「いいえ、結局、中学時代は最後まで、それを続けたのよ。小学生の頃から十年近く続けていた事を、急に方向転換するのは、流石にプレッシャーだったみたい。だから、わたしが佳奈ちゃんを、この学校に誘ったの。ここなら、わたし以外に知ってる人が居ないから、しがらみとか気にする事も無いでしょ。」


「しかし、まぁ、その話からすると、古寺さんがこの学校に受かった時、中学の同級生や先生達は驚いたでしょうね。 いや、そもそも、良くこの学校を受験するのを、先生が許したよね。」


「あはは、先生にもお母さんにも、どうせ落ちるから止めなさいって、言われたの~。」


「だから、ダミーで滑り止めの学校にも願書出してね、ここは試験の日程が早いから、受験慣れの為にって名目だったのよね。」


「でも、だったら、どうして城ノ内さんと同じ情報処理科にしなかったの?佳奈さん。」


 佳奈が樹里を頼っていたのなら、同じ学科に進むのが自然のでは、と瑠菜は思ったのだ。その疑問に対する、佳奈の答えは、明快だった。


「だって、ソフトウェアとかプログラムとかには、興味が持てなかったんだもん。」


「佳奈ちゃんは、こう見えても機械弄りとかやってたのよ。元元は佳奈ちゃんのお父さんの趣味なんだけど、古い機械を分解したり組み立てたり、そんな作業を手伝ってたりしてたのよね。」


「成る程、自分のやりたい方向とかは、ちゃんと考えてたんだ。そう言う、根気勝負の作業とかは向いてそうな感じよね、古寺さん。」


 維月は、感心した様に、そう言うのだった。


「佳奈ちゃんに就いて、わたしから話しておきたい事は、大体、こんな所かな。もっと詳しい事は、又後で、本人から聞いて。 ともあれ、佳奈ちゃんの独特のペースはね、人に依ってはイライラしたり、かんに触ったりで、馬の合わない人も居るんだけど、こればっかりは相性だから、どう仕様もないし。でも、今見てる限り、瑠菜さんは大丈夫そうで安心した。」


「あ、うん…まぁ、悪意が無いのは、伝わって来るから。許容範囲だと思う。」


「ごめんね~迷惑掛けるかもだから、先に謝っておくね。」


 膝の上に両手を置き、瑠菜に向かって深々と頭を下げる佳奈だった。


「わたしと付き合ってると、自動的に佳奈ちゃんとも付き合う事になるけど、井上さんは大丈夫?」


「あぁ、わたしは古寺さんみたいなタイプの人に、別に苛苛いらいらしたりしないから。むしろ、楽しそうで好きなタイプかもね。」


「そう、良かった。」


 維月の返事に笑顔を返した樹里は、その表情のまま、瑠菜の方へ向き直って言う。


「じゃ、今度は瑠菜さんの事、聞きたいな。」


「聞きたいな、って言われても。さっきの佳奈さんの話みたいに、ドラマチックなネタなんか無いし。」


「そう?さっき名字で呼ばれるのが嫌だとか、言ってたじゃない。」


 維月が身を乗り出す様にして、瑠菜に問い掛けるのだった。


「あぁ、あれはね…ほら、わたしってこんなふうじゃない、何て言うか、見た目が日本人っぽくないでしょ。イジメられてたってわけじゃないんだけど、まぁ、目立つから、昔から色々と言われるのよね。髪の色とか、肌の色とか、瞳の色とかに就いて。」


「わたしは、綺麗だと思うな!瑠菜さんの髪とか肌とか。」


 突然、意気込んで佳奈が声を上げた。瑠菜はその声に少し驚きつつ、笑顔で答える。


「あはは、ありがとう。まぁ、近頃はそう言ってくれる人も居たりするんだけどね、でも、子供の頃って人と違う部分が有るのって、疎外感って言うのか、そんなのを勝手に感じちゃったりするじゃない?」


「瑠菜さんは、帰国子女ってわけじゃないんだ。」


 違う角度から質問をして来たのは、維月である。


「うん、お父さんはアメリカの出身だけど、こっちには仕事で来て、日本人のお母さんと結婚したの。以来、ずっとこっちに住んでるから、わたしも日本生まれで日本育ち。」


「なるほど、同調圧力に弱いのは日本人らしいメンタリティだよね。例えば、あっちで育ってたら、色んな人種が居るのが珍しくないから『違うのは個性だっ』て、なってたかも。」


「それは、どうか分からないけど。ともあれ、わたしとしては、この容姿が幼い頃からのコンプレックスだったの。だから、名字の方で呼ばれると、自分のコンプレックスが刺激されると言うか、上手く説明出来ないけど…そんな事を意識する自分が嫌になるのよね。でも、別に、お父さんや、ルーカスって名前や、自分の容姿とかが嫌いってわけじゃないのよ。只、勝手な疎外感を持っちゃう自分が嫌なだけ。」


 溜息をいて、瑠菜はちから無く笑った。それに対し、維月は真剣な顔で、瑠菜に言うのだった。


「わたしは瑠菜さんの気持ち、少しは分かる気がするの。一緒にするなって、怒るかも知れないけど、わたしは見ての通りの身長タッパでしょ。昔から、同年代の男子よりも背が高かったから、これがコンプレックスだったのよね。 で、背が高いとさ、バレーとかバスケとかやってるのか?とか、やったらどうだって言われるわけ。それを言われるたびに、こっちはコンプレックスを刺激されるし、わたしはスポーツとか全然興味無かったから、ホントにアレは鬱陶うっとうしかったの。…あ、矢っ張り、瑠菜さんのとは違うよね。」


 一通り語り終えると、最後に維月は笑うのだった。それに釣られる様に瑠菜は笑顔になると、維月に言った。




- to be continued …-




※この作品は現時点で未完成で、制作途上の状態で公開しています。

※誤字脱字等の修正の他に、作品の記述や表現を予告無く書き換える事がありますので、予めご了承下さい。



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