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第10回

第5話・ブリジット・ボードレール


**** 5-10 ****



「中学に上がる時に、父の仕事の都合で引っ越したんです。それで、四月から通う事になった中学には、知り合いが一人もいなかったんですよね。わたし、見た目がこんな風じゃないですか…それで、誤解されたり、からかわれたりする事は昔から割と有ったので、中学に上がって、人間関係がリセットされて面倒臭いなぁと、思っていたんですけど。 そう言う態度が、女子の一部から反感を買ってたみたいで、結局、クラス全体から無視される様になったんですよね。」


 直美は眉をひそめて聞いていたが、声は発しなかった。ブリジットは、話を続ける。


ただ、その時、同じクラスだった茜だけは、わたしに普通に接してくれてて。でも、その所為せいで今度は、茜もクラス中から無視される様になったんです。」


「…成る程ね、そう言うお話。それで、どのくらい続いたの?そのイジメみたいなの。」


「無視と陰口が一学期の中頃に始まって…夏休みが終わった頃に、わたしがバスケ部で、一年生でレギュラーに選ばれたので、それを境に無視とか、わたしには無くなっていったんですけど、でも、特別親しい友人が出来たわけではなくて。 茜の方は、結局、無視と陰口が一年間続きました。勿論、わたしだけは茜と普通に付き合ってましたけど、学期が進んで行く内に、茜の成績がいい事とか、茜のお祖父さんが大きな会社…天野重工の事ですけど、その社長だか会長だかって言うのがクラスで知られて、それから、特に女子達の茜に対する風当たりが、余計にひどくなった様でした。」


 直美は不快そうに、溜息をく。ブリジットの独白は、更に続く。


「中二になってクラスが変わって、ようやく、そんな状況は自然消滅したと言うか。茜には成績上位グループの子達が、話し掛ける様になったので、二年目以降は、理不尽な無視や、陰口は無くなりましたけど。それでも、茜の成績をねたんでいる様な子達は、結構、最後まで根も葉も無い噂話を言って回っていたみたいですけどね。まぁ、茜はそんな人達の事は、気にしてなかった様でしたけど。」


「あの子も、案外、苦労してるのね…うん、分かったわ。嫌な事を思い出させて、悪かったわね。」


「いえ…確かに中一の時のクラスは、最悪でした。もしも、茜が居なかったら、わたしはあのクラスでずっと孤立してたと思うし、わたしが居なければ茜があんな目に遭う事も無かったと思うんです。後になって分かったのは、あれは一部の女子が煽っていただけだったらしい、って言う事なんですが。まぁ、それでも他のクラスの子や、部活の先輩とかは普通でしたから。わたしも茜も、クラスの外では、割と普通に過ごせたんですよ。それは幸いでした。」


「あぁ、天野は剣道部だったのよね?」


「はい。」


 その時、インナー・スーツに着替え終わった茜と、それを手伝っていた佳奈が、部室に戻って来た。部室に残っていた二人を見付け、佳奈が声を掛ける。


「あれ、新島先輩に見学ちゃん。お二人で何してるんですかぁ?」


 その声の方向に顔を向けたブリジットは、茜の姿を見て声を上げた。


「何?その格好。」


「これが HDG 用のインナー・スーツ。HDG の接続インターフェースなのよ。」


 茜は、ドレスでも披露するかの様に、クルリと一回りして見せるのだった。しかし、その一方でブリジットは、今一つ、ピンと来ていなかったのである。そんな様子は気にも留めず、直美は席を立った。


「じゃぁ、わたし達も下へ降りましょうか。ブリジット、なたもいらっしゃい。」


「いいんですか?」


「天野の様子を見に来たんでしょ?気の済むまで、見ていくといいわ。」


 そう言い残すと直美は、つかつかと茜のそばへと歩み寄って行く。茜の隣に立つと、左手で後ろから茜の左肩を掴んで身体を引き寄せ、直美が言う。


「天野、あなたの事、見直したわぁ。」


 茜は突然掛けられた言葉の、その意味が解らず、ただ、困惑するのみである。


「はい?何ですか、急に。」


「何でもいいの。さぁ、今日のテスト・スケジュール、こなしに行くよ。」


 直美は茜の背中を、部室から二階通路への出口へ向かって、ぐいっと押した。そして、振り向いて、ブリジットに呼び掛ける。


「何してるの~ブリジット、こっちへいらっしゃい。」


「あ、はい。」


 ブリジットは慌てて席を立ち、茜達の元へと駆け寄る。茜は二階通路への出口の外で立ち止まり、直美と佳奈を先に行かせてブリジットを待っている。そして二人が合流し、二階通路を階下へ降りる階段へと歩きながら、茜はブリジットに尋ねるのだった。


「ねえ、副部長と何を話してたの?」


「あぁ…寮に帰ったら、話すわ。」


 ブリジットが眼下に駐機されている、LMF の巨体に目を奪われている事に、茜は直ぐに気が付いた。


「凄いでしょう。あれ、HDG の拡張装備なのよ。」


「何?あれは…戦車?」


「LMF って言ってね、あの状態、コックピット・ブロックを接続して有ると、単体でも浮上戦車ホバー・タンクとして行動出来るの。コックピット・ブロックを切り離して、HDG とドッキングするのが、本来の使い方なんだけどね。」


 そんな茜の説明を聞いても、これも又、今一つ理解出来ていないブリジットである。

 四人は階段を降りると、先に格納庫フロアで準備を進めていた、緒美達の元へと向かう。


「準備は出来てるわよ。早速、初めてちょうだい、天野さん。」


 茜の姿を認め、緒美が声を掛けて来る。


「はい。」


 茜は、HDG のメンテナンス・リグへと駆けて行った。ブリジットは茜の、その声や、表情や、仕草を眼前にして、「確かに、楽しそうだ」と、そう思うのだった。




- to be continued …-




※この作品は現時点で未完成で、制作途上の状態で公開しています。

※誤字脱字等の修正の他に、作品の記述や表現を予告無く書き換える事がありますので、予めご了承下さい。



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