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第10回

第4話・立花 智子(タチバナ トモコ)


**** 4-10 ****



 翌日、2070年5月15日木曜日。その昼過ぎに、小峰課長からのメッセージが、智子の携帯端末へと届いた。

 内容は、「5月18日13時からの、本社企画部第一会議室での会議に参加せよ」との旨である。智子は、確認の為に小峰課長の携帯端末へと、通話要請を送ってみた。

 小峰課長は、智子からの呼び出しに、直ぐに応じた。


「あぁ、立花君?送ったメッセージ、見た?」


「それで、連絡したんです。レポートの件ですか?会議って。」


むしろ、他に何の件だと?」


「…それは、そうですけど。」


「あのレポートね、開発部と試作部と、事業統括部、それぞれの部長と、社長にまで、回ったらしいぞ。皆さん会議に参加されるそうだから、覚悟して来るようにね。」


 携帯端末の向こうで、小峰課長が引きった様な笑いを起こしているのが聞こえて来る。


「課長も出席されるんですよね?」


「そりゃ、キミの直属の上司だからね。もう、勘弁して欲しいよ。」


「どうも、随分と大事おおごとになってしまった様子で…でも、どうして、わざわざ日曜日に?」


「一応、キミが本社に来るには、平日は外した方が良いだろうってね。キミ、学校の仕事があるでしょ。まぁ、あのお歴々が、平日に揃えられるとも思えないけどねぇ、スケジュール的に。」


「それは…何と言うか、恐縮です。」


「どういう話になるのかは、わたしは知らないけどね。呉呉(くれぐれ)も遅刻だけはしないで呉れよ。じゃぁ、そう言う事だから、よろしく頼むよ、ホントに。」


「はい。では、日曜日に本社へうかがいます。」


 そして、小峰課長との通話は切れたのだった。「前園先生の薬が効き過ぎた、って感じだわ」と、智子は思ったのだが、それにしても、あのレポートだけで、そこまで大事おおごとになるのだろうか?その一点が、どうにもせないのであった。


 その日の放課後、智子は『兵器開発部』の部室をのぞきに行った。

 何時いつも通り、緒美が独りで黙々と研究を続けていた。緒美は、レポートの書き方に就いて智子に指導を受けて以降、新たな調査結果やアイデアを反映させて、レポートの改訂を独力で続けているのだった。


「どう?はかどってる?」


「いえ…ビックリする程は進んでません…。」


 緒美は智子の問い掛けに答えつつも、読んでいた資料から視線を外す事はなかった。


「ずっと、独りで進めているみたいだけど…誰か、手伝って呉れそうな友達はいないの?」


「…友達は…いないわけじゃありませんけど、こんな事に巻き込みたくはないので。わたしから誘う気は、無いです。」


 実は、日曜日に緒美のレポートの件で本社で会議が行われる事を、智子は緒美に伝えようかと思って部室へと来てみたのだったが、緒美の様子を見て、その考えが変わったのだ。会議の内容が現時点では不明で、どう言う結果になるのかが分からない内は、その事を緒美に伝える必要は無い様に思えたからだ。

 単純に却下されるのなら、ただ、そう通達すれば済む事なので、わざわざ関係しそうな部門のトップを集めて会議を行う必要は無いのである。だから、会議の内容は建設的な方向になるのだろうと、智子は希望的な観測を見立てていたのだが、それならそれで、結果が出てから緒美には知らせればいい事だし、結果が分からない内に余計な期待だけ抱かせる必要は無いと、今の緒美の様子を見て、智子はそう思ったのだった。


「邪魔すると悪いから、今日はもう帰るわ。戸締まりとか、お願いね。」


「先生、何か用事が有ったんじゃないんですか?」


 今度は、緒美は顔を上げて智子に問い掛けた。智子は咄嗟とっさに、笑顔で答えた。


「いいえ、あなたの様子を見に来ただけ。」


「そうですか。」


 一言返すと、緒美は再び、手元の資料に視線を戻した。

 智子は、それ以上は何も言わず、その場を後にしたのだった。




- to be continued …-




※この作品は現時点で未完成で、制作途上の状態で公開しています。

※誤字脱字等の修正の他に、作品の記述や表現を予告無く書き換える事がありますので、予めご了承下さい。


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