死闘 5
リョウは、子供達をあやしながら考えていた。
はやく、こんな状態が終わらないかな・・・。
リョウと子供達は、駅の町の食糧倉庫にいる。
駅の町では数少ない、鉄扉があり、鍵が掛けられる部屋だ。
有事の際には、子供達を連れて、この中に隠れる。
食料と子供と両方守ることが出来るからと、カイさんが言っていた。
それぞれをわけて守るほどの、余裕もない。
夕方ごろ、思いつめた顔のカイさんが訪ねてきた。
子供たちの頭をぐっと抱きしめている。
何かあったのかしら・・・。
リョウは喉まで出かかった言葉を呑み込む。
無理に聞いてしまえば、余計つらい思いをさせてしまう。
話したくなるまで、待っていたほうがいい。
子供たち目当てか、お爺さん達も訪ねてきた。
この町に老人は少ない。
子供たちもお爺さんにかまってもらって、上機嫌だ。
歳をとった人達は、いつもは畑で、寡黙に働いている。
毎日、忙しくしていることが多い。
子供達と遊ぶ姿を見るのは、久しぶりだ。
町の集会でも、いつも何も言わない。
大抵は、お爺さん同士で集まって、恥ずかしくなるような話ばかりしてる。
真面目に尋ねても、「若い人達にまかせる」と言って逃げてしまう。
最後にお爺さん達が、子供達と遊んでいた姿を見たのはいつだろう。
そして、気が付いて、目に涙が溜まってくる。
兄がいなくなった日だ・・・。
またきっと、誰かが『いなくなった』のだと気が付く。
そんな日は、何時だってお爺さん達を見かけなかった。
言われなくても、何をしに行くのか、わかってしまう。
見つかっても、見つからなくても、いつも何も言わない。
また、畑に戻って黙って働いている。
涙を無理にこらえて、ニッと笑う。
お爺さん達が、順に頭を撫でてくる。
頭が揺れて、涙がポロポロと零れてしまう。
お爺さん達が慌てだしたので、笑って舌を出した。




