死闘 6
翌朝、まだ日も明けぬ頃にタケルたちが迎えに来た。
昨晩は、酒場で過ごした。
店内のカウンターの奥に事務室があり、そこがユカリの居住スペースとなっている。
簡素な手製の寝台に、彼女の香りがかすかに残り、それが自分を安眠に導いた。
「足はどうだ?」
問われて、確かめてみる。
パンパンに腫れてはいるが、何とか一人で歩ける。
歩く様子を見て、タケルが告げた。
「皆が起きる前に出る、説明も面倒だしな。」
タケルがそういうと、町の畑に向かう。
自分も黙って付き従う。
その場には、老人たちとカイがいた。
カイは老人たちに、訴えている。
「どうしてですかっ。どうしてっ、僕は連れて行ってもらえないんですか。」
老人たちは困った表情をし、タケルを見ていた。
タケルはカイの頭を、まるで小さな子供に説教するかのように、軽くコツンと叩く。そして、いつものように、無精ひげをさすり、優しく語りかけた。
「此処を任せられる奴がいないと、みんな困るだろう。」
「お前がいるから、任せられる。」
そうして、頭を荒く撫でて、ガハハッと笑った。
「帰ってきてくださいね。」
「おぅ大丈夫だ。まだまだ、やりたいこともあるしな。」
そうタケルは答えると、投げられた石で荒れた畑を指さした。
「これを・・・そうだな、今の4倍位の大きさにしたい。」
次にバリケードを指さして、こう続けた。
「あれは・・・そうだな、残したままで、もう一回り大きなのを作るか。」
次に、投石を受けて壊れたであろう、かまどを指さす。
「これも・・・うん。大きな奴を3つは欲しいな。」
破壊されたプランターを指さす。
「食べるものだけじゃ、寂しいな。花があれば、子供たちも喜ぶだろう。」
中央の道を指して、まるで絵の構図を考えるように、指を四角くして覗き込む。
「屋台がならぶ、市場みたいなのがあれば、楽しいだろうな。」
そして、カイの肩を掴み、軽く揺さぶる。
「そのためには、もう少し子供が欲しいな。カイは・・そうだな。あと3人作れよ。」
そうして、頭をグシグシと撫でて、笑い出した。
「大丈夫だ。それに出かけるたびに、襲われるわけでもあるまい。」
「お前はお前の仕事をしろ。こっちは任せろ。いいな。」
そうして、カイはその場で立ち尽くし、泣いていた。
自分はカイに近寄って、「ありがとう」と告げた。
この時の自分は、まだわかっていなかった。
この町の収穫期とは、これほど過酷なものだったなんて。




