表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
67/112

覚悟を決めて 8

石を運んでいた者達から、獲物を見つけたと声が聞こえる。

この巣の獲物かもしれない。


逃げる獲物より、巣の獲物だ。

そう理性が呼びかけるが、興奮が抑えきれない。

今にも食らいつきたいほどに、血がたぎっている。


何名かが木に登り、獲物を確かめる。

幼体がいるようだが、見ない獲物だ。

足が速く、追うことは難しい。


この先の巣に向かうのだろう。

獲物の出現に皆、興奮を抑えきれず、声をあげそうだ。


やむえず何名かを振り分けて、獲物を待ち構える。

勝手に加わるものもいる、抑えようがない。


木の上から飛び降りて捕らえよう。

危険があるが、誰かがやらねばならない。


そして倒してしまえば、皆で石を投げて仕留められる。

血気盛んなものが、言わずとも飛び込むだろう。


まずは幼体を狙う。

うまくいったようだ。かたい殻を落とす。

幼体は体をひねり、腕を折ったようだ。


舌なめずりをし、幼体に迫る。

殻が剥ければ、長くはあるまい。

獲物の鳴き声が、耳に心地よく響く。


傷ついた幼体を残し逃げるかと思っていたが、成体がこちらを向いている。

拙いかもしれない。


成体が大きな吠え声あげ、破裂するような音と共に、仲間を突いたようだ。

倒れた仲間は動きを止めた。


予想以上の反撃だが、興奮が恐怖を抑え込む。

取り逃がせば、死が待っている。

喰らわなければならない。


幼体を引きずり成体が逃げる。

じりじりと追いつめ、少しずつ傷を与える。


吠え声の数も減ってきた。

もうじきだ。

やっと肉が食える。


そう、口元が緩みかけたその時・・・。

地面の巣穴に潜り込みだした。


あぁと絶望の声が上がる。

自分達の知らない巣穴に逃げ込まれてしまった。


地に巣があり、潜ったようだ。

飛び込んで確かめるが、穴は既に閉じらようとしていた。


絶望の中、仲間の姿を眺める。

仲間の遺体が、いたるところに転がっている。


獲物のが落としたものを齧るが、喰えないようだ。

幾人か試していたが、そのうちやめてしまった。


子殺しを防ぐため、やむを得ない。

皆、遺体を引きずり持ち帰り始めた。


地面を叩き、怨嗟を送る。

白く固い奇妙な巣を、何度も何度も叩きつける。

他にできることなど、何もなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ