覚悟を決めて 4
二宮良子は、ユカリに問いかける。
「二人は同室でいいのかしら」
問われてユカリは、コウを見る。
明日帰ることになった。
ここに一晩泊ることになる。
人生初の外でのお泊りだ。
私にはわからないことだらけ。
用はもう済んだのだろうか。
『ずっと任せてしまっていた、仕事を手伝うために』
って、コウは言っていたのに。
不覚にも、すこし恰好いいって思ったのに。
二宮良子は、意地悪だ。
リツも同罪だ。
ユカリは、ニヤニヤしている二人の顔を眺めて思う。
リツと良子の二人に、随分と聞き出されてしまった。
結局キスしかしていないこと、良子は知っているのに。
コウはいい人だ。
頼りなくて、すぐに恰好つける悪い癖がある。
私がしっかりしなくては、きっとすぐに死んでしまう。
自分でも、こんな無茶をして、付いていくなんて思わなかった。
けれど・・・
『同室』をことさら強調してくる良子をみて、あきれてしまう。
コウを随分奥手な人だと思っていたけど、たぶん違う。
自信がない人なのだ。
自信がないのに、無茶をして助けてくれる。
・・・自信がないから無茶をするのかしら。
私だって、自信がない。
だから、少し気持ちがわかる。
良子は言っていた。
『あの人はたぶん長生きするわよ、あなたよりずっと』
最初はおじさんだと思っていたけど、そうなのかしら。
良子は随分年上のようなことを言う。
リツが何の疑問も持たずにあわせるから、そのままにしていたけど。
たぶん、大して年も変わらなんじゃないかな。
コウは隣で、『別室でいいですよって』苦笑いしている。
ここで自分が『同室でいいです』って言わないといけないのだろうか。
もう少し、しっかりしてほしい。
誰にもばれない様に、そっと深呼吸して
『当然です』って返事をした。
コウが困った顔をしている。
本当にこの人は・・・。
もう少し、しっかりして欲しい。




