Responsible Conduct of Research 責任ある研究活動 4
作られたビオトープは研究所の敷地を埋め尽くし、彼女の供給する生物も変わってきた。
昆虫や水生生物が増え、またその捕食者も供給された。
私は自分がいた研究所の周りにも、この環境を作りたいと願い出る。
彼女は快く協力をしてくれた。
今はまだ眠っている彼が、目を覚ました時には自然が戻っているように。
なかば勝手に連れてきてしまった世界が、絶望の世界では悲しすぎるではないか。
私は喜んで作業を行っていた。
それこそ昼夜を問わず、緑化を行い、小さな生命の誕生に一喜一憂した。
自分の不死性をいいことに、時間を気にせずに。
私がいない間、彼女は禁忌を犯した。
彼女の知性だけがなしえる禁忌。
人クローン。
それも環境に適応する能力を向上させたものである。
ちいさな体躯、死肉を糧とする食性、夜目が効く、繁殖能力が高い。
放射能に耐性があり、言語を理解する知性がある。
彼女の指示に従い、ちいさな彼らは生活圏を広げ、そのことがさらに世界の再生を促進した。
異変に気がつき、私は彼女の研究所を訪ねた。
研究所の中には、何名かの子供も育てられていた。
改良された人間ではなく、通常の人間。
長寿性と繁殖力を持ち、知性と想像力を持つ完璧なクローン。
彼らによって研究所は運営され、生命の供給を続けていた。
その姿のなかには、私のクローンと思われるものもあった。
田中さとみ
世界を再生し、人類の生みの親となった彼女はすでに死亡していた。




