釣りの道中
買い取ったロープをほぐし、何本か丈夫そうな糸を選ぶ。
5本ほどしっかりとした糸がとれた。
長さが1・5メートルほどの木の枝をひろい、先ほどの糸を結ぶ。
先端に針をかけて、指でつまみ、枝をしならせて丈夫さを確かめる。
浮きも何もないが、これで釣り竿の完成だ。
リョウとユカリさんに、近くに川や池がないか聞いてみる。
池も川もあるにはあるが、話の通り、危険な生き物が出るのであまりいかないらしい。
リョウの家のことを聞いてみる。
家はそのままあるが、家賃を納めていないので利用するのは難しいそうだ。
家賃はそのまま町の防衛費として使われる。
食料や物納、労働力を対価に支払われる。
財布を探すといくつか硬貨があったが、この町ではほとんど使用できないそうだ。
芽の出たジャガイモをいくつか取り出して、今夜一晩の家賃として納めてもらえるよう伝える。
リョウが、町の守衛に手渡し確認する。問題ないとのこと。
リョウと初めて出会った家に戻る。
道中はオレンジ色の非常灯が地下を照らしている。
どこかで動力が生きているのだろうか。
明日の朝釣りに出ることを告げる。
リョウに釣りをさせて、自分が周囲を警護することを考え、釣りの仕方を教える。
やったことはないが、見たことはあるとのことで、飲み込みは早かった。
翌朝、ユカリさんを訪ねジャガイモの残りを渡す。
芽には毒があるので食べないように伝え、できれば育ててほしいと伝える。
夕方には魚を持ってきますと伝えると、笑って見送ってくれた。
川と池、どちらにするか迷う。
リョウの話では、池のほうが危険度は低いらしい。
池にむかい歩き始める。
道中よさそうな場所を見るたびに、穴をほりミミズを集める。
リョウはミミズをみてギョッとした顔をしていた。
やはり女の子はミミズが苦手なんだろうな。
もうじき池につく頃、遠くで生き物の吠える声が聞こえる。
「グラァ」と吠える声は、あのゴブリンのような生き物の声かもしれない。
声は遠く、警戒を深めるが池には向かうことにする。
池のほとりにつこうかというころ、木の生い茂った間を抜けようとする。
ズサッと音が鳴り、足元に一本の矢が刺さる。
「マジか、飛び道具か」
あり得ることであるが、予想をしていなかった。
自分の想定の甘さに、怒りがこみあげてくる。
リョウも慌てて木の陰に隠れあたりをうかがう。
相手は気が付いているが、こちらは相手を補足できていない。
リョウにそのまま隠れてと告げ、自身も木陰に隠れ、矢が当たったふりをする。
足を抑え、大げさにうめき声をあげる。
姿さえ見えれば、大した相手ではない。
ガサガサと正面に大きな音がして、緑色の顔に金の瞳が現れる。
動けないと判断し、とどめ刺しに来たようだ。
ニヤリとすると、慎重に矢をつがえこちらに向ける。
相手の姿が見えたと同時に、前に駆け出す。
手斧を投げつけてると、獲物の豹変に驚愕して怯んでいる。
斧は相手の右腕をかすめ、後ろに落ちる。
浅からぬ傷だ、弓はもう打てまい。
鉄槍を胸元へ突き立てる。
メショッと不気味な音をたてあばらが砕ける。
敵は一人なのだろうか。
木の根元に身を潜め、周囲を伺う。
物音はしない。
おそらく危機は去ったのであろう。




