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初交渉

行商人の老人を先頭に、数人が店に入ってくる。


いつのまにかリョウがやってきて、老人と話し、みんなに声をかけてきますと伝える。


「おぅ先ほどの若いの。」


老人に声を掛けれて、頭を下げる。


「早速なんですが、こちらを交換できますでしょうか。」


湿ってひしゃげた青い箱の薬を差し出す。

老人は受け取ると、中身を確かめている。


「解熱剤じゃな、貴重な品じゃ。何と交換したい?」


そう言われて、何を扱っているか知らないことに気が付く。

どんなものがあるかを尋ねる。


普段は苗や食料、衣料品に生活雑貨、刃物などの武器を扱っているとのこと。

食料は、ほとんど売れてしまい残っていないそうだ。


生活雑貨を見せてもらう。

過去の遺物だけではなく、手製で作られたであろう物も並ぶ。

殆どが木製か金属製である。


見ているうちに、農作業をしていた人達がやってきた。

苗や種と、集めてきた廃材の類との交換を交渉している。


交渉の間に、生活雑貨から何点か選び出す。

まだ使えそうなナイロンのロープと、おそらく手製の釣り針を選ぶ。


護衛の人に声をかけて、交換可能かと尋ねる。

交渉は老人としてほしいと断られてしまう。


「ある程度歳をとった人でないと、物の価値がわからないですよ。」


「私たちでは、もうそれが何に使うものかもわからないものも多いのです。」


いつの間にか起きてきたユカリさんが教えてくれる。

すこし顔色が良くなっていた。


「水場に行かねば魚は釣れぬ、水場には危険な生き物も集まる。」


交渉を終えた老人が、声をかけてくる。


釣り針を見ていたことに、気が付いたようだ。


「おぬし、釣りをしたことがあるのか?」


ええまぁとあいまいに答える。

子供の頃、数回やったことがあるくらいの経験しかない。


物がある程度わかるようじゃなと、満足げに老人がつぶやく。


先ほどの錠剤を渡し、ナイロンのロープと釣り針を数本手に入れる。


「あとは身を守るものを、持っておいたほうがいいじゃろう。」


手斧があることを伝えるが、長いものがより安全だと説明をうける。

護衛の人が持っているような、建材の廃材より作られた、鉄製の槍を渡される。


「あとはそうじゃな、芽がでてしまったジャガイモがいくつかある。」


おまけだと言って渡してくれた。


過去であればごみでしかないが、今となっては貴重なものの一つだろう。

礼を言って受けとる。


「ここの町から海に向かっていけば、ここより大きな町がある。

そちらであれば、より良いものとの交換もできるじゃろう。」


薬を見つけてきた手腕を買われ、行商人の本拠地の町のことを教えてもらう。


ちいさな居住地については、教えることはできないそうだ。


道中危険な生き物も出る為、容易な道ではないとのこと。


行商人は日が暮れる前に、次の町へ向かうと告げて席をたった。


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