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魔術師セノ  作者: 森山すぱこ。
セノの夏休み
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セノの工房訪問④ せまりくるセノ


湖畔の小屋。

エレラインを逆召喚して、ようやく落ち着きを取り戻していた。

セノはシカくんとお昼寝中。

爺さん、元徴税官、元盗賊、元重装兵の四人で球体に映っている工房の中の様子を見上げている。


元徴税官が魔法陣の中で指を滑らせ、球体に映る対象を変えた。


「この子がいちばん新しく入った子?」

「そう」


爺さんが答える。


「なんでこんな小さい子が……」

「理由は聞いてないな……でも、おそらく白だろうな……見てたらわかる」


元盗賊が元徴税官の指を押しのけ、魔法陣の中に指を割り込ませる。

そして、指を滑らせて、球体に映る対象をエレラインに変えた。


「エレラインがいちばん一生懸命だな……」


腕を組み、満足げにこぼす。



「それ、エレラインじゃないよ」


元重装兵が笑いをこらえながら、ぼそっと言う。


「!」


元盗賊が指を滑らせて、球体に映る対象を変えていく。


「じゃあ……これか?」


元盗賊は首を回して、周囲を見渡す。

爺さんが元盗賊の後ろに立って、目を細めながら球体に映るエレラインの様子を見て、つぶやく。


「何か目的があるんだろう……彼女がどんなに一生懸命作っても火種(薪代わり)にしかならん」


元盗賊の両肩をもむと、忠告した。


「あまり肩入れするなよ」



◇◇◇



アバロン収監所からセヴァンが工房に帰ってきた。

出入口のそばでいつも通りソリは止まる。


セヴァンは目をつむって腕組みをしたまま。

工房に着いたことに気づいていない。



しばらくして――


セヴァンの頭の中に突然「目の前に現れたボサボサ親父(ニタニル)の顔」が蘇った。

頭を振って、ようやく目を開ける。


(……ニタニルの件はもう片付いた。あとはあの子供《セノ》だけだ)



ソリを降りて、鍵輪から鍵を探そうとした時。

横目に、不自然な茶色い地面が映った。


工房の裏手に向かう。

そこには自分の部屋の窓に向かって、雪の階段ができている。

セヴァンはそれを見上げ、少し口を開けたまま固まった。


早足で工房の扉に向かう。

扉の前でカシャッと鍵を落とす。

急いで拾い上げ、目的の鍵を探すと、鍵を開けて中に入った。



セヴァンの部屋の前。

まず確認する。


――ドアノブは回らない――


鍵がかかっていることに少し安心した。

一息つく。


(……違う。セノは窓から入ったかもしれない……)


急いで鍵を開けると、扉をゆっくり押した。



見渡すが、部屋の中は一見、荒らされていない。


一息つく。


窓もチェックする。開いた形跡はない。

目を閉じて、一度深呼吸した。


そしていつも通り、自分の椅子に座った。




ピタッ。……。ピタッ。


水滴の音。

後ろを振り返り、二度見する。

コロミィの作業部屋から聞こえてくる。


その部屋の入り口に立つ。

目を閉じ、五感を研ぎ澄まして、音の発生源を探った。


分厚い魔法紙。

昨日コロミィが作ったものだ。

昨日、突然やってきた子供のせいですっかり対処するのを忘れていた。


その魔法紙からは、まるで作りたてのように水が滴っている。




コンコン。


ゆっくりと扉が開く。

顔をのぞかせたのはキヴァスだった。


「あの(セノ)、来てますよ」


セヴァンに目線を合わせないまま、話しかける。


「そうか……連れてきてくれ」

「わかりました」


ようやくキヴァスと目が合った。その後ろのシヴはあやしい笑顔でセヴァンを見ている。

セヴァンは平静を装うため、少し口角を上げて見せた。


バタン。


ついにあの子供(セノ)とカタをつける時がやってきた。

部屋に戻って、灯りをつけようと、机の隅に置かれた日照石にそっと手を触れる。


ドタッ。


(…………。)


日照石を拾い上げ、石の座りをグリグリと確認する。

座りはしっかりしていた。


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