表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
CYBER・DIVER  作者: mito
7/7

Seventh.届く範囲

あなたの記憶の本棚に、ぜひ私の作品を入れさせて頂けませんか?

リリースの戦闘員になる為には、基本的に三つの工程を踏む必要がある。

一つ、適正検査によるC判定以上の戦闘員適正を持っている事。二つ、面接による意志表明。三つ、司令官監修の戦闘試験の合格判定だ。

しかしA判定を持っているラファルは少し特別で、面接のみを通過すれば正式に戦闘員になる事が出来る。そして面接が必要ないぐらいには司令官であるフラムは彼女の意志を理解している為、面接の必要もない。その為、ラファルは無条件で正式に戦闘員として認められた。

だが、司令官であるフラムから個人的に模擬戦を申し込まれた。

「もう一度ルールの確認をする。制限時間は10分、その間に俺に一撃でも与えられたらお前の勝ちだ。もし勝利する事が出来たのなら、エリート戦闘員の昇格条件の一つである"司令官による認証"を達成としてやる」

「出来なかったら、どうなりますか?」

「出来なかったら出来なかっただけだ。俺はあくまで、お前の実力が知りたいだけだからな」

これはラファルの現在の実力を知る為のテスト。戦場に立ったことはあれど、実際に戦ったことのないラファルにとってフラムに一撃を与えるのは無理難題に思える。

だが、ラファルは戦闘員適正のA判定持ち。それだけの才能が彼女にはある。つまり、司令官に届く才能があるのだ。

「ピナ、合図を頼む」

「はい、分かりました。二人とも、準備はいいね?」

テストの模擬戦の舞台となるのは地下9階にあるメイン訓練室。一軒家が百個程入るぐらいには広く、そしてある程度は地形を操作出来る。

今回は街中での戦闘を想定し、いくつか建物に似た障害物を設置した。そんな中、ラファルとフラムはそれぞれ配置に着き、合図を待つ。

「それでは、模擬戦...開始!」

ピナが開始の合図を出し、二人は動き出す。

ラファルが今回扱う武器は中距離に対応出来るシンプルな小銃と近距離に対応出来るハンドガン。対して、フラムが扱うのはシンプルな刀。元々近距離戦が得意なフラムは迷わず距離を詰めてくるだろう。

もし接近戦になれば銃を扱うラファルは不利になる。だから、戦闘開始直後にラファルは物陰に隠れながら索敵を開始した。

(フラムさんは普段はクレアさんに索敵を任せてる。気配を消していればとりあえず見つかりはしない)

(ラファルの気配が消えた。おそらくは物陰からの奇襲を仕掛けてくる。なら、こちらは音に集中していればいい)

互いに思考を巡らせ、ラファルは音を立てないように動き、フラムは立ち止まって耳を澄ます。現在フラムは中央、ラファルは隅の方にいる。

ラファルは物陰から少し顔を出し、中央にいるフラムを発見する。フラムは立ち止まっている。彼は、ラファルにとって格好の的だ。

(よし、今!)

ラファルが静かに銃を構え、そして発砲する。だが、それと同時にフラムが動き、飛んできた銃弾を弾き飛ばした。

「見つけたぞ、ラファル」

「流石は司令官、そう簡単にはいかないよね!」

フラムは走り出し、障害物に飛び乗りながらラファルの方へ一直線に向かう。

だが、大人しくやられるのを待つラファルではない。彼女も走って、位置を移動しながら小銃を連射する。

「速い!追い付かれる...!」

ラファルはフラムの猛追に焦っているが、対するフラムもラファルの才能に驚かされていた。

銃を握ったのは初めてだというのに、彼女は走りながらも的確にフラムを狙ってきている。おかげで、フラムは銃弾を避け切れず刀で弾くしかない。

リリースに来たばかりのフラム自身でさえ、ここまでの芸当は出来なかった。

「捉えたぞ、ラファル!」

「まだ、負けてません!」

ラファルは小銃をフラムに向けて投げ捨て、その隙にハンドガンに持ち変える。

片手が空いたことでより身軽な動きでフラムの猛追から逃げ、そしてその最中でも銃を放つ。だが、それだけの芸当が出来ても限界がある。

「攻撃に意識が行きすぎだ。足ががら空きだぞ」

「んなっ!?」

フラムがラファルの足を蹴り、そしてすかさず浮いた身体を蹴飛ばす。

容赦のない攻撃にラファルは怯むが、それでもすぐに体勢を立て直し、今度は真正面から勝負に出た。

(このままでは勝てないと悟っての攻め。だが...)

「うぐっ...!」

「体術は、全然なっていないな」

フラムがラファルを押し倒し、刀を突き付ける。ハンドガンを持っている手も抑えられ、抵抗のしようがない状況だった。

「このまま10分経つまで俺はお前を押さえ付ける。さあ、どうする?」

ラファルは何とか抵抗しようと身動ぐが、フラムの抵抗は固くビクともしない。試しに手首を捻って銃口を向けようとしてもそこまで曲がらない。

完全な詰み。だが、ラファルにはまだ策があった。

「まだ、終わりじゃないですよ!」

その瞬間、ラファルが銃を上に向けて放つ。

銃口の先には一本の電線があり、銃弾によってそれが千切れ、鞭のようにフラムに向かってしなる。

それをフラムは跳躍して躱す。そして、ラファルの拘束が解かれたその一瞬でラファルはフラムの刀を蹴り飛ばした。

「っ...これが狙いか」

「終わりです、フラムさん!」

空中に浮いたフラムに向かってラファルが銃弾を放つ。放たれた銃弾は、確実にフラムを捉えた。

だが、銃弾が当たる寸前にフラムは身を捩り、そのまま着地して再びラファルを押し倒す。流石は司令官、あの程度ではまともな一撃は与えられない。

ただ、まともではない一撃なら彼に届いた。

「...お前の勝ちだ、ラファル」

今回使用されたのはゴム弾で、殺傷能力はない。しかし、確かにその銃弾はフラムの頬にかすり傷をつけた。

ほんの一筋のかすり傷。それでも、初めて銃を握った少女が司令官であるフラムに傷をつけたのだ。


◇◇◇


「凄かったねラファル!あれだけの動き、私にも出来るかどうか...」

「たまたまですよ、それに、全然フラムさんに勝てるイメージが湧かなかったですし」

フラムとの模擬戦を終えたラファルは、ピナと共に地下にある自室へと向かう。

今日から正式にリリースの戦闘員となったラファルは、明日から軽い研修を終えて任務に出向くことになる。もちろん、その際はパートナーであるピナと一緒にだ。

「ラファル、今日のご飯はシエルが作っててくれるみたいだから、楽しみにしてね?彼、思ったよりもやる男だから」

「へ〜、それは楽しみです!そういえば、家事も色々とやってくれますもんね」

「そうそう、私が任務で忙しい分、本当に色々やってくれて...」

「ピナさん、どうかしましたか?」

ふと、ピナが立ち止まって一点を見つめる。

その先は、リリース本部のエレベーターホール。そこに、一人の金髪の青年がいた。

「...ベノワ」

ピナがそう呟くと、その青年は振り向く。

リリース司令官、"解放"のベノワ。彼は齢18歳にしてリリース内で最強の称号を我が物としている。そんな彼は、ピナにとって特別な存在だった。

「珍しいな、ピナ。こんな所で会うなんて」

「ベノワこそ、いつもは地下10階に籠ってるよね?どうしたの?」

「たまには身体を動かさないとだろ?ピナは、新人の付き添いか?」

「うん、そう。ラファルって言うの。私の可愛い後輩なんだよ」

ベノワと話すピナは、ラファルと話す時よりも柔らかい印象を受けた。まるで、親しい家族と話すような、頼れる兄に甘えるような感じだった。

「初めまして、ラファルと言います!えっと、ベノワさんって確かリリース最強の...?」

「ははっ、確かにそう呼ばれてるな。期待の新人だってフラムから聞いたよ。これからはピナをよろしく頼むな?」

「は、はい!もちろんです!」

「じゃあ、またなピナ」

そこまで話すと、ベノワはエレベーターに乗って1階下の地下10階へ向かう。そこでラファルは思い出した、最初に本部内を案内してもらった時に"ベノワ専用!絶対入るな!"と書かれた部屋があった事を。おそらく、あそこが彼の作業部屋なのだろう。

そしてふとラファルはピナの顔を見る。ピナは俯き、少し嬉しそうに口角を上げていた。憧れの存在、ラファルもピナと楽しく話せた時はこんな顔なのだろう。

「ピナさん、エレベーター来ましたよ?」

「あっ、うん!行こうか!」

リリース最強、その背中はラファルの憧れであるピナが憧れるもの。

きっと、いつまで経っても手が届くものではないのだろうとラファルは思った。

今回のお話はいかがでしたか?

これからも自由に物語を創っていきますので、どうぞお楽しみください。

感想、お待ちしております!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ