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40話 王国⑦

 いよいよ式典当日。俺は控室にて正装へと着替えていた。


「リエト様に似合っています」


 アリアは笑顔で俺の姿を見てきた。


「これもつけてみてはどうです?」


 ルナは猫耳、しっぽ、マントを取り出した。あー装備屋で眺めてたやつだ。


 結局買ったのか。つけるわけないだろ。


「リエトさん、頑張ってください」


 ロレッタがほほ笑む。


 窓を見ると、北地区の国民はバルコニーのもとに詰めかけていた。みんな仕事を中断して外にでてきて、王のスピーチをまだかまだかと待ち望んでいる。


 スピーチのあと、報奨金授与と願い事を発表するのだ。あらかじめ王様と打ち合わせは住んでおり、了承すみだ。


「では、私たちもリエト様の勇志を見たいので後程」というと去っていった。


 俺もバルコニーのある部屋で待機するかと控室をでたとき、王様のスピーチが聞こえてきた。


「我が国は長年、魔王軍の侵略に脅かされてきた。20年前、勇者リベルトが魔王の力を7つの魔石に封じ込めた。しかし、なお現在も魔王によって王国全土の安全が脅かされている。先日、王宮からわれわれが保持する魔石がひとつ盗まれた。あろうことかその場にいる全員がひとりの人間に罪をかぶせてしまった。しかし彼はそんな私を、国をさげすむことなく魔石を取り返してくれた。国王として感謝する」


「うおおおおー」と街のあちらこちらから歓声がなりやまない。


「さらに彼は、魔石とりかえしただけでなく、20年という長い月日をかけて王国の兵士たちが取り戻すことができなかった。魔石をもうひとつ取り戻してくれた」


 さらに大きな歓声があがる。


「では紹介しよう。英雄リエト」


 歓声がなりやまぬ中、王様のいるバルコニーへ出て行った。


 俺はバルコニーの下に詰めかける人々に手を振った。

 

「では、今回の件、総額金貨200万枚を授与する」


 俺は王様に礼をすると、紙をうけとった。実際に金貨200万枚を持ち運ぶのは不可能だったため、式典は紙で代用している。


「では、もうひとつの褒章である願い事を2つ述べてもらう」


 俺はバルコニーから観衆を見下ろす。


「20年という長い間、誰も攻略できなかった魔王軍幹部を打ち取り、魔石も取り戻しました。俺の願いはまずは、北地区、南地区、東地区、西地区の連絡路の解放と南地区の警備の強化だ。南地区では常に奴隷として魔王軍幹部に連れていかれていた。警備を強化してそんな悲劇を二度と起こさないようにしたい。それと国は国民全員のものだ、行き来を緩和して、たくさんの人々がほかの地域に行けばさらに国全体が発展する。しばらくは受け入れられないかもしれないが、みんなにはほかの地域の現状にも目を向けてほしい」


 少し間を開けて続ける。


「2つ目は俺の第三番部隊隊長への就任だ。だが、この任命はもとから決まっていたことなどで、もうひとつの願いは、魔石探しの継続だ。まだまだ塀の外の街や村は魔王軍の支配に苦しんでいる。一刻も早く魔石を取り戻し、魔王軍の幹部を討伐することが使命だと思う。俺にその使命を託してほしい」


 観衆は大盛り上がりだ。


「では、第三番隊隊長が命じる。第三番部隊副隊長はアリア」


 歓声はなりやまない。アリアを見るときょとんとしている。


「同じく第三番隊第三席にルナ」


 さきほどと同じくらいの歓声があがる。


「以上だ」俺は礼をするとバルコニーを去った。


 控室にもどる最中、ディックとすれ違った。俺は少し気まずそうに顔をしたに向けて歩いた。


 あー谷では自業自得とはいえ、救出しなかったからなー


 無事に通り過ぎたと安心していると、背後から「おい」と声をかけられた。


 俺は振り返ると、ディックは背中ごしに「気をつけろよ」とひとことぶっきらぼうに言い放って去っていった。


 控室にもどると、ルナとアリア、ロレッタがお出迎えしてくれた。


「えー僕そんなサプライズ聞いてないですよ」


「不満か?」


「いえ」ルナがもじもじとする。


「でもまたこれで旅が続けられるということね」アリアは喜んでいた。


 この日はお祭り状態で夜遅くまで外が騒がしかった。


「で、明日には出発するの?」アリアが口を聞いた。


「まだゆっくりしたかったです」ルナが少しだだをこねた。


 あまり長居しても名残惜しいだけだ。



 翌日、王宮から北地区へでる扉の前で大勢の兵士がお見送りしてくれた。


「リエトさん、アリアさん、ルナさん、またきっといつか旅をしようね」ロレッタの目には涙が浮かんでいた。


 王宮の扉が開くと大勢の観衆が詰めかけていて、北の大門までの花道を作ってくれた。


 みんな手にはハンドベルを持っていた。俺たちが北の大門を潜り抜けるまでベルの音はなりやむことはなかった。


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