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番外編「食料問題と家の本」③

小高の上にある小さな家の前に世愛たちは移動していた。家の裏手には広大な畑が広がっている。


「邪魔する」


遊佐は家の入り口近くで揺れる椅子に座り、目を閉じている男に声をかけながら扉を遠慮なく開け、中へと足を踏み入れた。


「お、お邪魔しますっ!」


畑の凄さに圧巻していた世愛は遊佐の声で我に返り一足遅れて男へと深々と一礼したあと、家の中へと足を踏み入れた。そして中の広さに驚き、大きく目を見開いて辺りを見渡した。家の中は小さい家の中にしてはとても広く食堂なのか様々な人が食事をし、賑わっていた。


「驚いたか?ここは異空間に繋がっているんだ」


そんな世愛に気がついた遊佐は説明をし、それを聞いた世愛はだから外見の割にはこんなにも広いのかと納得し、目を細める。


「あ!遊佐じゃん!久しぶり!」


食事を終わらせ、出ていこうとする男が遊佐の存在に気が付き、声をかけてきた。その声に反応するかのように遊佐だ!遊佐が来たってことは…と周囲がざわつき始める。


「……さっちゃん。数日の間代わる」


遊佐はそんな声を無視して厨房へと近寄り、カウンターからその中にいる人物へと声をかける。それを聞いた周囲

歓喜の声を上げ、遊佐に声をかけてきた男は何処か悔しそうな顔をしている。


「わかった」


厨房にいた人物、さっちゃんは遊佐の声を聞いて手を止めて中から出てきた。さっちゃんはメイド服を身に纏い、中性的で大人びた顔立ちをしていてとても綺麗なオレンジ色の瞳は少し癖のある白に近い紫色の髪で少し隠れていて後ろは襟足くらいの長さまであり、背には小さな翼がはえていた。


「…あの」


足早に上の階へと姿を消してしまうさっちゃんを見送りながらも状況が分かっていない世愛は控えめに遊佐へと声をかける。


「すまん。説明していなかったな。ここは芸術家を目指す奴らが食を求めて集まる場所なんだ」


遊佐は世愛の表情を見て察し、口を開いた。


「食を求めて…」


世愛は周囲を見渡した。


「遊佐が作る料理、凝っていて美味いのに…くそっ…」


悔しがっている男はお腹がいっぱいで遊佐が作る料理が食べられないことにとても残念そうに呟きながら出ていってしまう。


「…それで俺たちは今からここで数日間、手伝いをする。そしてその労働を対価にして食材を得るんだ。だから世愛も練習がてら作ってみるか?こいつらただ飯食いだから失敗しても文句言わずに食ってくれるぞ」


遊佐は説明を続けたあと、周囲にいる人を一瞬だけチラ見した。


「確かに失敗しても食べるけどただ飯食らいとはなんだ!俺たちはちゃんと暇な時とか体を動かしたい時に畑の世話を手伝ってるぞ!」


遊佐の言葉に反論するように男の声があがり、そうだそうだと周囲がそれはに同調する。


「それてどうする?」


遊佐はそんな周囲の声を無視し、世愛へと問いかける。


「やります!やらせてください!」


世愛はやる気満々で返事をする。


「そうか。なら色々と教えてやる」


遊佐は厨房の中へと入り、世愛はそんな遊佐のあとを追った。そして厨房に入るなり遊佐に渡されたエプロンをした世愛は遊佐の指導の元、調理を開始する。その結果、世愛はカラフルなカレーを作り上げた。世愛は内心、食べてもらえないのではないかと不安だったが芸術を志す者たちなので皆、芸術的だ!と褒めながら食べてくれた。それに気をよくした世愛は遊佐の指導の元、色々と頑張り遊佐は丁寧に指導をした。


「…あれ?なんか外が騒がしい…?」


暫くの間、集中していたが外が騒がしいことに気がついた世愛は野菜の皮むきをする手を止めて扉の方を見る。


「ほっとけ。問題を起こすやつならデュークの奴がここには通さない」


遊佐は洗い物をする手を動かしながら口を開いた。


「デュークさん…?」


世愛は不思議そうな顔をして遊佐へと目を向ける。


「外にいただろ?椅子に座っていたやつが…あいつは門番みたいな奴だから悪さをしそうな奴とかはここには入れない」


遊佐は手を動かしながら世愛へと目を向ける。


「そうなんですか…」


世愛は外を気にしながらも手元へと目を向け、再び手を動かし始めた。手があいた時、デュークに何かを持っていこうと思いながら…


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