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その後、遊佐は他の契約者であるエリザベスたちと出会いながらも奏の転生体を探し、色々な世界を放浪した。自分の目で確かめられる場所は確かめ、確かめられない場所は精霊たちにお願いした。その際、遊佐は古代種の遺跡も探索し、堕ちぬ方法も模索したが見つけることは出来なかった。


「そして遊佐は探し続けた。見つかることのない奏くんの転生体を…」


指を鳴らすことで遊佐の過去を終わらせ、元の場所へと視界が戻した愛の女神は世愛へと目を向けた。


「え、どうしてですか…?」


口を手で押えて見ていた世愛は手を離し、困惑した。


「奏くんはね。遊佐を生き返らせてからずっと近くで遊佐のことを見守っていたの。でもこのままでは再び出会うことは叶わなくなってしまうかもしてない思った奏くんは神器を探し出し、そして頼み事をしてきたわ。再び出会う為に遊佐を地上にいさせて下さいって…それで私は条件付きで頼み事を聞くことにしたわ」


愛の女神はその時のことを思い出し、話をする。


「条件…?」


世愛は愛の女神へと目を向け、首を傾げる。


「期限満了ギリギリまで転生させないと…復讐とはいえ沢山の人を殺した遊佐と簡単には契約できないもの…なので契約期間中、遊佐には罪を背負いながら生きてもらったのよ。生き物を害さずに生きるなんて大変だったでしょうね」


愛の女神は説明をした。それを聞いて世愛は首を傾げるのを止め、だから他人と関わるのを極端に嫌がっていたのかとこれまでの遊佐のことを思い出す。


「契約してからこれまでずっと遊佐のことを見て思ったのよ。遊佐は奏くんの転生体を探し出しても深く関わりを持たないんじゃないかって…それでね。私、誘惑の神に頼み事をしたの」


愛の女神はそんな世愛に話を続けた。


「頼み事ですか?」


世愛は不思議そうな顔をする。


「遊佐の過去を見て…ここまで聞いてもわからないかしら?貴方は奏くんの転生体なのよ」


愛の女神はそんな世愛をじっと見つめ、答えた。


「え…」


世愛は驚きのあまり大きく目を見開いた。


「仮契約期間っていうのは嘘なの。遊佐が貴方と関わりを持つように私が誘惑の神に今までの経緯を話し、契約してもらったの。だから貴方は生まれながらの契約者で追われる人生だったのはただたんに力の制御が出来ていないだけだったの」


愛の女神は申し訳なさそうに世愛を見つめ、世愛は俯いて目を閉じてしまう。


「ごめんなさいね。混乱するわよね。奏くんの時の記憶は無いものね。望めば契約解除だってできるわ」


愛の女神はそんか世愛を見て慌てて顔を覗き込んだ。


「……飛べない」


目を開けた世愛はポロポロと涙を流し、そんな世愛を見て愛の女神はぎょっとし、あたふたし始める。


「魔界にいるんですよね…?行けないんです。私が奏くんの転生体だって遊佐さんに伝えなきゃいけないのに…」


世愛は泣きながら愛の女神を見つめる。


「契約者であっても魔界へは簡単に立ち入れないわ。悪魔以外の生き物には魔界の瘴気は有毒でとても危険なの。だから最古の魔王が入ってくるのを封じているのよ」


愛の女神は自分たちを責める訳でもなく遊佐のことを考える世愛を見て目を見開くも直ぐに目を細めて言い聞かせるように言葉を発した。


「……それに関しては問題ありませんわ」


世愛は愛の女神からの話を聞いて絶望していたが、そんな世愛の耳にそんな声が飛び込んできた。


「エリザベスさん…」


世愛が声のした方向へと目を向けるとそこにはエリザベスの姿があった。


「最古の魔王とお知り合いであるお父様に相談なさいましたの。そうしましたら最古の魔王をお父様が説得してくださいましたわ」


エリザベスは世愛へと近づいていく。


「で、でも行けない…」


世愛は困惑したようにエリザベスを見つめる。


「お父様が神の加護なし、おひとりで行くのでしたらお送りすると申しておりまして…」


エリザベスは申し訳なさそうな顔をしている。


「何を考えているの!魔界には魔物や野心が強い悪魔や魔王が沢山いるのに!彼女一人で魔界へ行かせるなどっ」


愛の女神は抗議の声をあげた。


「ワタクシも抗議はしましたわ!危険な場所に可愛い少女を一人でおくるべきではないと…ですがお父様は面白いからお聞き入れなさってはくださいませんでしたわ…本当ならワタクシも共に行きたかったですわ…」


エリザベスは愛の女神へと目を向け、必死に弁解をした。


「……なので世愛。危険な場所でも行きたいとお望みになるのでしたら腕輪を外していただければお父様が強制的に魔界へと送還いたしますわ」


そしてその後で世愛へと目を向け、言葉を続ける。


「腕輪…」


世愛は不安そうに腕輪へと目を向けた。腕輪を外せばまた追われるのではないかと恐怖したからだ。


「怖いのでしたら無理に行く必要はありませんわ」


そんな世愛を見てエリザベスは心配をする。


「…いえ。行きます」


世愛は覚悟を決め、真剣な顔つきでエリザベスを見た。


「おかえりは最古の魔王の元まで辿り付ければ送り届けて下さるとのお話でしたわ。無事にお帰りになってくださいね?渡す物もございますので…ワタクシ、ずっと待っておりますから」


そんな世愛にエリザベスは観念したように説明を続け、世愛は小さく頷いたあとで腕輪を躊躇せずに外した。すると世愛の足元に魔法陣が出現し、世愛はその魔法陣が発する光に包まれて姿を消してしまう。その際、契約の証である腕輪は地面に落ちた。


「……世愛が無事でありますように」


その腕輪を拾い、両手で包み込むように持ったエリザベスは祈るように目を閉じた。だがその祈りも虚しく魔界へと来ることができた世愛は瘴気にやられて来て早々意識を失ってしまった。自分へと忍び寄る何者かの影があるとも知らずに…


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