1.序
気ままに投稿していくのでよろしくお願いします!
ゴーン、ゴーン、と鐘の音が頭の中で響いた。
徐々に私の意識が浮上していく。
「⋯⋯⋯⋯では、100万グリズから!おっと、31番さん早速120万、8番さん125万!」
ここは何処、私は誰?
頭がずきずきと痛んで、凄く混乱している。
『んーとねーあなたはねーあまりに可哀想だったから転生させてあげる☆あ、私は他称女神よ☆』
⋯⋯そう、私は死んだんだ。大学進学を前にして。
両親はおらず施設育ち、そこでは友達が出来ず唯一の話し相手は施設の先生。なお先生が私のことをどう思っていたのかは定かではない。
そんなかんやで遊ぶこともなく1人勉強に従事し、しかし高校受験ではインフルを移されて撃沈。そして大学受験では第一志望に見事合格するも、入学前に交通事故で死。終わり。
これくらいで説明が済んでしまうほど私の人生は浅いものだった。でも幸いなことに、この後には続きが待っていて⋯⋯
「29番さん180万!さあ良いのか?滅多に見かけない魚人族の娘だ。ここで逃したら二度とお目にかける機会が無いかもしれないぞ!?」
『そゆことでーあなた、次は竜宮城で生きさせてあげる!あ、この竜宮城ってあなたも知っている竜宮城よ。なんかあそこの龍王が神格化しちゃって、たまに異世界に繋がっちゃうのよねー』
そう、私は新たに異世界で生を受けたのだ。
種族としては、巷で魚人族と呼ばれる存在に。と言っても普通の人と違うのは、指の間に膜があって水中呼吸が出来るくらい。
そして今更ながらに、今の私は水が入った小さい水槽の中にいることに気付いた。ぷかぷか浮いている。
なんというか、当たり前すぎて違和感を感じなかった。
『あっ、でも記憶を取り戻すのは10歳になったらね?幼い頃にやると情報過多で壊れちゃうから☆』
私は新しい───というより初めての───お父さんとお母さんの元で楽しく幸せに過ごしていた。
新しい名前はスイウ・ハイドゥ。ハイドゥの姓は竜宮城住民全員同じだったので、もはや意味を成していなかったけど。
普段することは遊ぶことだけ。大人達もする仕事と言えば食料の魚や甲殻類を取ることくらいだったので、それが終わった後によく構ってくれた。お陰で寂しさを感じることは無かった。同年代の友達?それは知らない。
それにしても前世と比べたら天国のような生活をしていたはずなんだけど⋯⋯
「おっと、51番さん220万グリズ!流石にこれ以上はいないかぁ!?」
腕を見る。鎖が付いている。
首元を触る。首輪が付いている。
外を見る。スポットライトを当てられ、仮面を着けた人達の見世物になっている。
『それじゃ!楽しんできてねー☆』
両親から隠れて竜宮城から少し離れた場所で遊んでいたら、見事に人間の漁師が引き揚げていた網に引っかかった。
そこからあれよあれよという間に出荷されて、今、多分奴隷市場みたいな感じのとこで競りに掛けられている。
⋯⋯⋯⋯どうしたらいいの?ねえ、これ、どうしたらいいの???
周りに味方は無し。そして私は今ちょうど10歳になったところ。
中身の年齢が上積みされようがどうしようもない。
無理だ、と思って私は水槽の端で体育座りをして顔を伏せる。なんでこうなっちゃったんだろうという後悔がずっと胸の中で渦巻いていた。
「では、これで⋯⋯さっ、300万!!29番さん300万グリズです!!これ以上の方は⋯⋯⋯⋯いませんね。魚人族の娘は29番さんが300万グリズでの落札となりました!!!」
こうして、記憶を取り戻した私、スイウの物語は奴隷から始まった。
「こんにちは。私はエリシア。エリシア・ミレトス。ミレトス王国の第1王女です。これからよろしくね?」
「⋯⋯⋯⋯え?」
ただし、王女様の奴隷だったけど。




