6.奥にあるモノ②--〔銀灰色の狼〕
第19話を開いていただき、ありがとうございます。水月です。
一日お休みを挟み、次回また2話連続更新いたします。
それでは、本日のシーンもどうぞお楽しみください!
ガルルルル……。
低く響く唸り声とともに、闇の奥で二つの青白い光が揺れた。
「……!」
テンマは反射的に剣を抜く。
次の瞬間、闇が弾けた。
銀灰色の狼が岩を蹴り、一息で間合いを詰める。
青白い光を帯びた毛並みは逆立ち、鋭い牙が剥き出しになっていた。
その双眸が捉えていたのは――テンマではない。
「ぷるっ!?」
小さな魔物だった。
獣は一直線に飛び掛かる。
「なっ……!」
考えるより早く、テンマの身体が動いていた。
小さな魔物を抱えるように突き飛ばし、自らがその間へ滑り込む。
ギィンッ!!
鋭い爪が剣へ叩きつけられ、甲高い音が洞窟中へ響き渡る。
「ぐっ……!」
重い。
想像以上の力に、腕が軋む。
押し負ける――。
そう思った瞬間、獣は低く唸りながら後ろへ飛び退いた。
距離を取ると、獲物を見失ったことなど気にも留めないように、再び小さな魔物へ視線を向ける。
「……俺じゃない?」
テンマは眉をひそめた。
普通なら、人間を優先して襲うはずだ。
それなのに、この獣は違う。
狙っているのは、最初からあの小さな魔物だけだった。
「ぷる……」
小さな魔物はテンマの足元へ身を寄せ、小刻みに身体を震わせている。
「……なんなんだ、お前」
答えが返ることはない。
獣は低く身構えると、再び地を蹴った。
テンマは剣を構え直す。
「来い……!」
洞窟の静寂は完全に破られた。
青白い光の中で、最初の激突が始まる。
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