5.水晶の領域④--〔行く手を塞ぐもの〕
第17話を開いていただき、ありがとうございます。水月です。
次のシーンは一日お休みを挟み、再び毎日更新を予定しています。
その後は、通常どおり2日に1話の更新へ戻ります。
それでは、本日のシーンもどうぞお楽しみください!
テンマは左の通路を歩き続けた。
先ほどまでと変わらず、青白い光が足元を淡く照らしている。
後ろからは、小さく身体を弾ませる音がついてきた。
ぷる。
ぷる……。
規則正しいその音は、いつしか足音の一つになっていた。
その時だった。
ぷるっ。
小さな魔物が、ひょいとテンマの前へ飛び出した。
「あっ」
思わず足を止める。
小さな魔物は身体を震わせながら、じっとこちらを見上げている。
「邪魔だぞ」
苦笑しながら横へ回り込もうとする。
すると、
ぷるっ。
また目の前へ飛び出した。
「……」
テンマは眉をひそめる。
右へ避ける。
ぷる。
左へ避ける。
ぷる。
何度避けても、小さな魔物は行く手を塞ぐように跳ねてきた。
「遊びじゃないんだ」
少し呆れたように言う。
もちろん返事はない。
ただ、小さな魔物は落ち着かない様子で身体を震わせ続けていた。
「……何をしたいんだ?」
しゃがみ込み、小さな魔物を見つめる。
褐色の身体の奥では、青白い光がゆらゆらと揺れている。
その震えは、先ほどまでとはどこか違って見えた。
だが、その理由までは分からない。
「……まあ、いい」
テンマは立ち上がる。
「行くぞ」
そう言って一歩踏み出すと、小さな魔物は慌てたように後を追ってきた。
◆◆◆
洞窟のさらに奥。
青白い光さえ届かない闇の中。
ガルル……。
低く唸る声が静寂を震わせる。
岩陰で身を潜めていた獣は、ゆっくりと顔を上げた。
その瞳は、獲物の気配を捉えたように鋭く細められる。
だが、その唸り声は――。
まだ、テンマたちのいる場所までは届いていなかった。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます!
応援メッセージはいつでも励みになります。
(※感想・ご要望に関するお願いは【活動報告へのリンク】をご確認ください)
尚、ストーリーに関する「批判はNG」「ネタバレ注意」でお願いしますね。
次回もお楽しみに!




