4.人跡未踏(じんせきみとう)の領域①--〔探索〕
第10話を開いていただき、ありがとうございます。水月です。
基本、2日に1シーンのペースで更新していく予定ですが、
しばらく短めの話が続くため、数話ずつ毎日更新いたします。
区切りごとに一日お休みを挟み、その後は通常の更新間隔へ戻る予定です。
それでは、本日のシーンもどうぞお楽しみください!
隠し通路へ足を踏み入れた瞬間、ひんやりとした風が頬を撫でた。
洞窟の湿った空気とは違う。
まるで鍾乳洞の奥へ迷い込んだような、澄んだ冷気がゆっくりと流れている。
松明は一本もない。
代わりに、岩壁にはところどころ褐色の水晶が埋め込まれ、淡い光を静かに放っていた。
強い光ではない。
それでも足元を照らすには十分で、闇の中に細い道だけがぼんやりと浮かび上がっている。
「ザイド……」
テンマは小さく呼びかける。
返事はない。
静まり返った通路に、自分の声だけが虚しく消えていった。
剣の柄へ手を添えたまま、慎重に歩みを進める。
ポタ……ポタ……。
水滴が落ちる音。
その後から、自分の足音が聞こえる。
聞こえるのは、それだけだった。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます!
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