カリフォルニアロールって実は1960年発祥ってマジ?
それから程なくしてユウ達はホゾマに連れられエルフの街へと降り立つ。そして、街の中央の大通りと思しき道を歩き始めた。
「うわぁ~!」
周囲を見回してたティキが物珍しさから目を輝かせ、感嘆の声を上げる。
「驚いた……。これほど清冽な街並みが整備されているとは……」
アネッサも驚きの言葉を口にする。周りに居た者達も大なり小なり似たような反応であった。
「うーん、この……」
……ただ一人、ユウを除いては。
(ユウさん、反応薄いですね~。もっとテンション上げていきましょうよ!)
そんなユウの様子を見かねたルティシアが声をかけてくる。
(……いや、上げたいんですけど……上げたいんですけども……)
ユウはそう言って視線を再度、周囲のエルフの街へと向ける。その視線の先には近未来的なコンクリート造りの高層建築物が所狭しと並んでおり、それらをつなぐように綺麗に道路が舗装されている。そして、その道路上には車のような乗り物がエルフを乗せて走り回っている。
(……やっぱこれ異世界ファンタジーっていうよりSFじゃないですか……。肩透かしを食らってどうにもしっくりこないというかなんというか……)
ユウはそう言って肩を竦める。そんな煮え切らない彼の態度にルティシアはため息を漏らす。
(まったく……そんな寿司屋に入ったらカリフォルニアロールが出てきたみたいな反応して……)
(どういうたとえ!?)
そんなやり取りをしていると、ユウは自身に目線が向けられているように感じて周囲を一度見回す。
「……?」
仲間達が自分を挙動不審だと感じ、呆れの視線でも送っているのだろうかと思いもしたが、どうやらそう言うわけでもなかったらしい。周囲の仲間達はエルフの街を観察しようとあちこちに視線を巡らせており、誰一人としてユウの方を見ている者はいない。
(……と、いうことは……)
ユウは改めて周囲に視線を向ける。そうすると、街の中を行くエルフの一人と目線が合う。目線が合ったエルフは視線を逸らすことなくユウの顔をじっと見つめている。
「……」
その視線に居心地の悪さを感じたユウは相手から目線を逸らすと、再度周囲を見回す。そうしているうちにまた、別のエルフと目線が合う。
「……これって」
ユウが呟くと、その声に気が付いたホゾマが頷く。
「ああ。この場所に人間や魔族が足を踏み入れるのは数百年に一度あるかないかだ。皆、お前たちが珍しいのだろう」
「やっぱりそういうことか……」
納得するユウの横からエミリアが尋ねる。
「しかし、地上に出て人間と接触する機会がある方もいらっしゃるんですよね?」
「まあ、いないこともないが……その数は決して多くない」
その言葉を聞いたユウは頭を軽く掻く。
「状況は理解しましたけど……これって俺達歓迎されているんです?」
「好奇半分、おびえ半分と言ったところだな。まあ、ありがちな話だがよそ者は歓迎されにくい」
「あー、そういう感じ……」
ユウが納得していると、ルティシアが声を張り上げる。
(分かりますか、ユウさん!こういう感じが横浜市民なんですよ!横浜の旭区とか保土谷あたりのちょっと主要地域から外れた田舎っぽい感じのところあたりの!都会人気取りのくせに排他的な感じが!)
(いや、あんたマジで横浜で何があったんですか……。つーかもしかして横浜が存在する並行世界が幾つかあって、そのどれもが似たような感じなの!?)
ユウとホゾマのやり取りを聞いていたアイザインが自身の顎をさする。
「なるほど。まあ、よそ者はよそ者らしく現地の人々を尊重してつつましやかにしろということか……」
そう言うと目線をチコの方へと向ける。
「そう言うわけだ。ちゃんと節度を守っておとなしくしておけよ、チコ」
「んなっ!?」
アイザインの言葉にチコが心外だといった様子で奇声を上げる。
「なんでウチなんや!?もっと言うべき相手が他におるやろ!?」
「そうか?」
アイザインは首を傾げる。その様子が癪に障ったのか、チコは声を荒げながらティキを指さす。
「たとえばこっちは子供やぞ!?ウチより先に注意すべきやろ!」
「いや、ティキの方が礼儀を弁えてしっかりしている」
アイザインに褒められたティキは胸を張る。
「ふふーん」
「ぐぬぬぬ……」
歯噛みしたチコは、今度はユウの方を指さす。
「だったらあっちはどうなんや!?」
「あっちは既にやらかしていてアウトだ。いまさら言ってもどうしようもない」
「俺アウト扱いなの!?」
アイザインの言葉にユウは素っ頓狂な叫びをあげる。
「そりゃまあ」
アイザインは答えながらホゾマの頭部を指さす。そこには、昨日ユウの踵落としによって造られた巨大なたんこぶが鎮座していた。
「……」
目の前の動かぬ証拠に、ユウは何も言い返すことも出来ずに黙り込む。
「そう言うわけでチコ。ちゃんと現地住民の方々に失礼が無いよう、節度ある振る舞いを心掛けるんだぞ」
「わ、分かったわ……」
「俺を出汁に納得するなよ……」
今度は素直に言うことを聞くチコにユウはため息を漏らす。
「おい、これに乗るぞ」
そんなやり取りを知ってか知らずか、ホゾマがユウ達に声をかけてくる。彼の背後には、他のエルフ達が乗っている物よりも大容量と思しき乗り物が控えていた。
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