第1話「俺の運、正式に辞職しました。」
こんにちは! 俺の名前はヘル。十六歳の少年だ。
そして――信じられるかどうかは別として、俺はかつて、伝説とまで呼ばれたギャンブラーだった。
そう、俺は自分の運だけを頼りに生きていた!
俺が触れるものは、何だって勝利に変わった。
誰もが俺の「伝説級の幸運」を羨ましがっていた。
俺自身も、そんな幸運が自分から離れることなんて――永遠にないと思っていた。
……そう、思っていたんだ。
でも、世の中にはこんな言葉がある。
「どんなに高く飛んだ鳥も、いつかは落ちる」
そして今の俺はというと――
ゴミ箱の中に座っている。
そう、ゴミ箱だ。
しかも頭には、なぜか鶏の骨が引っかかっている。
そのうえ、一匹の変な猫まで俺の頭の上に堂々と座っている。
まるで自分がこの世の王様であるかのような顔で。
通りすがりの人たちは、まるで移動式サーカスでも見ているかのように俺を見ている。
そして俺は――笑っていた。
「どうやら……俺の伝説級の幸運、全部使い果たしたみたいだな……」
俺は苦々しくため息をつきながら、さらにゴミの中へ沈んでいった。
ようこそ、俺の新しい人生へ。
――十六年間、幸運だった男の「不運生活」の始まりだ。
……え?
「どうしてこんなことになったのか」って?
ゴミ箱の中にいる理由が知りたい?
……お前ら、性格悪いな。
まあいい。
話してやるよ。
すべては、俺が十六歳になった誕生日の日から始まった。
その日は家の庭で誕生日パーティーを開いていた。
雰囲気は完璧だった。
大きなケーキ。
楽しい音楽。
そして俺の頭には――
「幸運の王」と書かれた王冠。
ちなみに、その王冠を作ってくれた友達には悪いが……材料はトイレットペーパーだった。
俺はケーキの前に立ち、目を閉じた。
そして、誰にも言えない願いを一つ思い浮かべる。
ゆっくり息を吸い――
ロウソクの火を消そうとした、その瞬間。
運命が、俺の誕生日に割り込んできた。
空が突然、真っ黒になった。
まるで世界そのものが、
「サプラーイズ!」
と叫んでいるかのように。
突然の雷雨。
風!
雷!
轟音!
ロウソクの火は消えた。
ケーキは……見るも無残な姿になった。
そして招待客たちは、まるでゾンビ・アポカリプスが始まったとでもいうように、一斉に逃げ出した。
俺はただ、雨の中に立ったまま――
静かに自分へ拍手を送った。
パチ……パチ……。
こうして俺の十六歳の誕生日は――
見事なまでに台無しになった。
そして翌日。
俺は自分に言い聞かせた。
「大丈夫だ、ヘル……まだ運は俺の味方だ。ただのくだらない雨だ。こんなことで俺の王座が揺らぐものか!」
そう思った俺は、サッカーの試合に賭けることにした。
簡単な勝負だった。
プロの強豪チーム対、俺たちの町のチーム。
地元チームの名前は――
「怒れるカメ」。
……ちなみに、そこの本物のカメは二年前に死んでいる。
試合の勝率は――
なんと100%。
負ける可能性なんてゼロ。
絶対に負けない。
そう思っていた。
そのとき――
ピンポーン♪
テレビから速報が流れた。
『緊急ニュースです! アウェーチームの選手一名が新型コロナウイルスに感染したことが確認され、試合開始直前にチームが出場を辞退しました!』
…………。
俺は画面を呆然と見つめた。
心が砕けた。
財布も、隅っこで泣いているように見えた。
俺の金は――
全部、消えた。
その瞬間、俺はついに理解した。
幸運は――
正式に辞職した。
そして俺は、その後も数々の「血で血を洗う戦い」を経験した。
もちろん、結果は――
見事なまでに全敗。
名誉ある敗北。
そして、ものすごく痛い敗北。
そんな日々を過ごしていたある日。
俺は学校へ向かって歩いていた。
背中には、わずかに残った俺の尊厳を詰め込んだカバン。
そのとき――
彼女を見つけた。
レム。
俺のクラスメイトで、成績トップクラスの輝く少女。
そして――
俺の密かなライバル。
……遠くから見ればライバル。
近くから見れば――俺の理想の女の子。
彼女は軽やかな足取りで歩きながら、眩しい笑顔を浮かべていた。
その笑顔を見て気絶した男子が、過去に三人いるという噂まである。
俺は彼女を見ながら、心の中でつぶやいた。
「今日こそ……俺は彼女の目に、ヒーローとして輝いてみせる!」
……誰にも言うなよ?
これは俺たち二人だけの秘密だからな。
そして――
突然。
レムが道路へ一歩踏み出した。
「危ない!」
俺がそう叫ぶよりも早く――
現れた。
アニメ界の永遠の宿敵。
白いトラック。
そう。
普段なら主人公を異世界へ送り込む、あのトラックだ。
猛スピードでレムへ向かってくる!
「レェェェム――――ッ!」
俺は叫んだ。
そして、勇敢なヒーローのごとく走り出した。
胸には希望。
頭には彼女を救うという使命。
そして――
たった一つ、大事なことを忘れていた。
俺の幸運は、とっくの昔に消えていた。
一歩目。
ズルッ。
「え?」
二歩目。
バランスを崩す。
三歩目。
ドンッ!
俺はレムに突っ込んだ。
まるで巨大なジャガイモでも投げつけられたかのように、彼女を道路へ押し倒してしまった。
幸い、トラックはそれほどスピードを出していなかった。
キキィィィィッ!
急ブレーキがかかり、俺たちの目の前で止まった。
助かった。
本当に助かった。
……だが。
俺には、もう一つの問題があった。
観客だ。
いつの間にか、周囲には人だかりができていた。
「おい! 何してるんだ!」
「彼女を殺そうとしたのか!?」
「この犯罪者!」
「最低な奴だ!」
「感情を利用するな、この変態!」
ちょっと待て!
違う!
俺は彼女を助けようと――
「言い訳は聞かん!」
「こいつをゴミ箱に放り込め!」
「賛成!」
「えええええっ!?」
そして――
現在。
俺は再びゴミ箱の中にいる。
頭には鶏の骨。
頭の上には、なぜか王様気取りの猫。
そして俺の尊厳は――
完全に消滅した。
……どうやら俺は、正式にゴミ箱の所有物になったらしい。




