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Lost12 優しき青年は、冷酷な魔の王になれるのか  作者: JHST
第八章 あの人と共にありたい
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⑪片道切符

「これがあれば、向こうに行ってもここに帰れるの?」

 ケリケラの問いに、大魔王は首を左右に振る。

「こいつはまだ未完成だ。余が直接展開する呪法と異なり、これは呪法を他者が発動させられるよう、固定させる必要がある」

 そして大魔王がコルティとケリケラの双方を見た。

「故に、貴様達の力が必要となる」

「………私の空間を固定させ、操る技とケリケラの魔力増幅(マジックブースター)ですね」

 コルティの理解に、大魔王が頷く。

「余の友を探し出す為に過去に送る呪法、そして帰還させる為の呪法。この二つが揃って初めて、目的を達成させる事ができる」

「成程、ようやく見えてきた。そいつを持って過去に飛べば、呪法が消えるまでに戻るという時間制限がなくなるという訳だな」

 リコルが腕を組む。


「ですが、確実に魔王様がいらっしゃる時代に飛ぶ事が前提条件となりますな」

「その問題は、既に解決している」

 シュタインの疑問に大魔王が、二百年後の自分から、相田のいた時代を特定した情報を得ており、その時代に飛ぶ為の調整も済ませてあるとの事だった。


 その言葉に、ケリケラが天井を眺めるように一つの疑問に到達する。

「そもそも何で、二百年後の大魔王様は、お父さんのいた時代に自分で行かなかったのかなぁ?」

「そりゃぁ、あれだ。帰る方法がまだなかったからじゃないのか」

 言葉をややどもらせながら、リコルが自分なりに解釈するが、ケリケラは過去でも研究は続けられるし、無理ではないと珍しく筋の通った論調を展開して、彼の口を閉じさせた。

 その問いに関してのみ、大魔王も答えを述べなかった。



「それで、大魔王様。今日にでも実行されますか?」

 話を変えるように、シュタインが先に進めさせる。

「ふむ、そうだな」

 大魔王は白い肌の顎を指でなぞり、周囲の表情を読み解く。

「実行する日時は、貴様達で決めるがいい………ただし、過去に行けるのは一人だけだ」

「そりゃあ、今までもそうだったからな」

 リコルを含め、全員が今更な情報に驚く事はなかった。

「でも、何度か繰り返せば全員で行けるって事でしょ?」

 ケリケラの遠足気分な高揚に逆らうかのように、大魔王は球体を掌に収めると、もう一つの情報を周知する。

「残念だが、この球体で帰れる者も一人だけだ」

「………え」

「つまり、行った者は二度と帰れない」

 コルティの言葉と同時に、全員が沈黙した。


 大魔王が立ち上がる。

「誰が行くか決めておけ」

 そして家の外へ向かうように背中を向けると、大魔王の姿は霧のように消えていった。

 

 沈黙が続く。

 その空気を最年長のシュタインが破る。

「取り敢えず、ここは時間を置いて集合しましょう。ここにいる四人以外が行く事はないでしょうから、各々の場所で考える事にしませんか?」

 抽象的な提案に全員がぎこちなく頷き、この場は一先ず解散となった。

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