表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Lost12 優しき青年は、冷酷な魔の王になれるのか  作者: JHST
第八章 あの人と共にありたい
754/777

①深夜の銀閃

 部屋の時計は夜中を指している時間だが、星は一つも見る事ができない。

 街灯の照明の数を減らして、時間の経過を再現しようとする幻想的な風景ではあるが、自然に反している側面もあり、どこか物足りなさを感じさせる光景が、この狭い世界で広がっていた。

 どの家も明かりは消え、皆が寝静まっている中、コルティは集落の中心にある小さな広場で、一人白銀の斧を何度も振り続けていた。


 ぼんやりと明るさの残る世界で、白銀の一閃が様々な角度で直線を引いていく。斧そのもの重量を利用し、流れるような動きで振り下ろした斧が、自然と減速しながら頭上へと戻って停止する軌跡を描き続ける。

「………ふぅ」

 息を止めて斧の位置を固定させ、全てを吐きながら振り払う。彼女の体も斧の後を追うように舞い、遅れて体から離れた汗が、土の上へと落ちていく。

 既に三十分以上振り続けているが、彼女の心も頭も無心とは程遠かった。

 コルティは斧を振り下ろすと、そのまま地面と平行になるように斧の柄を静止させる。そしてゆっくりと斧を降ろすと刃先を地面に触れさせ、流れる汗の落下点を視線で見つめながら斧に体を預けた。


「………良い腕だ」

 闇夜の中から大魔王の姿の半分が街灯に照らされる。大魔王は少しずつ広場に近付き、その全身をコルティに示した。

「いえ………無我夢中で振っているだけです。型にすらなっていません」

 深呼吸と共にコルティは体を起こし、大魔王に顔を向ける。

「頭も心も切り替えようと思いましたが、中々に上手くいかないものです」

 今日の話を整理するだけで、あらゆるものが一杯になったと、彼女は近くのベンチに置いてあったタオルを手にして顔をうずめた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ