⑩思いがけない再会
「大魔王様!」
そこへ、老齢な声が響く。
「お迎えもせず、申し訳ございません」
高齢の蜥蜴亜人族の男が大魔王の前で膝をつき、家臣の礼を尽くす。
「気にするな。予定よりも早く事が済んだだけの事、貴様が気に病む必要も陳謝も必要ない」
男は集落の者達と同じ服を纏っているが、服から出ている肌はくすんだ青い鱗で覆われており、高齢のせいか、ところどころ鱗に亀裂や欠けが見られた。
だが、コルティもケリケラも、目を大きくさせたまま、目の前の蜥蜴亜人を見つめている。
「………シュタイン?」
コルティが何度も瞬き、ようやく声を出す事が出来た。
「嘘………だって、さっき行方不明って!」
ケリケラの慌て様に、シュタインが体を起こすと、予想通りと大袈裟に笑いながら後頭部の鱗を叩き始めた。
「御二人共、お久しぶりですな………世間では確かに行方不明扱いの身ですが、残念ながら、自分はまだ死んではいませんぞ。ほら、左右の足もこの通り」
両足を交互に見せながら、自分が亡霊ではないと冗談を含めて言葉を繋ぐ。
「何はともあれ、大魔王様と無事に合流出来て何よりです。本来であれば、大魔王様を迎えに行かせる事など恐れ多いのですが、生憎と、この里から出る事が叶いませんで」
どこか寂し気なシュタインの言葉に、ケリケラは自分の額に翼を押し付け、唸り始めた。
シュタインが再び笑い始める。
「まぁ、混乱するのも無理はありませんな。さてさて皆様、ここはひとまず私の家まで来ていただいて、詳しい話はそこでいたしましょう」
自分よりも事の詳細を知っているシュタインの姿に頭を痛めつつも、コルティ達には他の選択肢もなく、シュタインと大魔王の後に続くしかなかった。




