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Lost12 優しき青年は、冷酷な魔の王になれるのか  作者: JHST
第六章 虚構と化した世界
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⑦人間と亜人

 旧カデリア領の東、旧王都ブレイダスよりもさらに東へと進んだ位置に、このゲンテの街は存在する。

 この街は先の戦の被害を受ける事がなかった為、戦争終結後は二、三割の住民がシモノフの大関所跡や親戚知人を頼って一時的に避難したものの、カデリア王国の中ではいち早く復興した街の一つであった。

 さらに東に行けば集落がいくつか点在するが、村と呼べる程度の集まりしかなく、目だった商業も特産もない。ウィンフォスからもブレイダスからも遠く、商人にとっても旨味の少ない土地である為、これより東は、街として開墾される予定が全くない平野が広がっていた。


 コルティとケリケラは店を後にした大魔王の後ろをついていく。

「それにしても、随分と街の中に仲間が増えたよね」

 ケリケラが大人の肩の高さで器用に飛び続けながら、街中で歩く亜人達の姿を一瞥する。家族で歩く狼亜人(ライカンスロープ)族、大通りに面した店で商売をする小鬼(ゴブリン)族と大きな木箱を運ぶ猪亜人(オーク)族、それぞれが得意とする能力を生かそうと、人間社会に参画していた。

 コルティも、その意見に頷く。

「ええ。特に旧カデリア領は、出稼ぎに行った同胞達がそのまま定住した事も大きいですから。各部族に仕送りをしている者もいるそうですよ」

 人間と共存できるようになり、人間と同じように学び、製品を作り、商売に励む仲間の姿をコルティは誇らしく思い、そしてその光景を見る度に微笑む。


「だが、人間との問題も増えている」

 大魔王は足を止めると、無機質な表情のまま顔を右へと向けた。

「これは?」

「瓦礫………の山」

 コルティとケリケラも顔を向ける。

「二日前に、泥酔したオークの集団が引き起こした。鎮圧時には、双方に死者が出ている」

 猪亜人(オーク)族がもつ怪力だからこそ、起きた事件であった。

「確かに。亜人(私達)は人間よりも身体的には恵まれていますが………」

 人間が酔っても、余程の実力者でない限り、家の柱を素手で粉砕したり、壁を破壊する事はない。コルティは、仲間達が人間と共存していく事によって発生する問題点を目の当たりにする。

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