表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Lost12 優しき青年は、冷酷な魔の王になれるのか  作者: JHST
第六章 虚構と化した世界
740/777

③世界の潮流

「………その顔では、随分と苦労してきたようだ」

 注文を受け終え、厨房へと向かう店員の背中を見送り、大魔王から話を切り出した。

「覚悟しての結果です。それに、労せずして手に入れたものなど、今の私達にとって大した価値はありませんから」

 コルティも負けじと言い返す。

「ふ、そうだったな」

 大魔王がつまらないことを聞いたと、小さく鼻で笑う。

「余とお前達の目的を考えれば、常人の努力など、到底足元にも及ぶまい」

 肩を(ささ)やかに揺らし、食事を再開する大魔王。


「そう言う大魔王様は、この五年間、どうしていたんですか?」

 ケリケラが唐突に尋ねた。

 大魔王は視線を彼女に送ると、すぐに元に戻し、口に含んだ物を全て飲み込んでから、椅子の背もたれに体を預ける。

「余か………余は、あらゆる場所で、あらゆる人間の姿を見てきた」

 単純な上に抽象的な答えであったが、言葉にした時の大魔王の深い目は、その言葉が虚構ではなく、純粋な真実や摂理かのように訴えていた。

 コルティ達の喉が同時に鳴る。

「かつての余は、人間が余を打ち負かす程に強大な力をもっていながら、何故その力をもっと効率的に使わないのかと疑問に感じていたが、誰もその問いに対する十分な答えを持っていなかった」

 余がこの世に生を受ける前の話だと、後付けする。

 そして、この世界でも同じ(ことわり)だったと、大魔王が首を振った。

「人間は弱く脆い。弱いが故に群れを成し、脆いが故に社会や国家といった組織を形成する。そしてどのような形であれ、人間の中で強さをもった者は、主に二つの流れを選ぶ」

 大魔王は腕を組み、目を瞑る。

「力を自分の欲の為に使う者と、他人の為に使う者だ」

「そのような話であれば………ご主人様は後者になります」


 大魔王はコルティの言葉を否定せず、話を続けた。

「だが、結論は同じだ」

「同じ?」

 ケリケラが眉をひそめる。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ