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Lost12 優しき青年は、冷酷な魔の王になれるのか  作者: JHST
第五章 耐えがたきを耐えてこそ
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⑨互いの戦場へ

「カレン、貴女がやりたい事は何ですか?」

「私の………やりたい事、ですか」

 カレンの心の中で何度も女王の言葉が繰り返される。同時に、リリアが部屋の入口を一瞥するとすぐに顔を戻し、目を大きくしていた彼女にさらに言葉を送る。

「コルティとケリケラは、しばらくしたら旅に出るそうです。そして己を鍛え上げ、彼と再び会う事に全てを賭けると言っていました」

 そして『私も』と言い始めた瞬間、リリアの脳裏に、ある者の言葉が流れた。彼女はその者の言葉を拒絶する事なく、口にする。

「私も、()()()()()()()()()()()()()を第一に考え、国政を進めていく所存です」


 リリアはロデリウスの言葉の意味を理解した。


「騎士カレン。明朝、謁見の間にて、貴女に伝えるべき事があります。その時に、貴女がやりたい事を私に教えてください」

「………はい」

 カレンは、今できる精一杯の力で小さく頷く。

 それで十分だと、リリアは微笑み返し、踵を返す。



「ありがとうございます」

 部屋を出てくるリリアに、コルティとケリケラは頭を下げたまま言葉を送る。

「いえ。お礼を伝えるべきは私の方です………コルティ、ケリケラ、貴女方に感謝を」

 リリアも自分が見るべき方向を見つけたと、自信に満ちた表情のまま頭を下げた。そして二人に対して、旅立つ際に必要な物があれば遠慮なく申し出るように伝え、玄関に向かった。


「雨が………止んだようですね」

 コルティから雨よけの頭巾を受け取る前に扉を開けたリリアが、雲の合間から見える輝く星々と、大小の月を見上げた。

 そして視線を落とすと、家の外で待つ金髪の男と数人の兵士達の姿が目に留まる。


「どうやら、全て見透かされていたようです」

 リリアはコルティから頭巾と外套を受け取り、肩をすくめた。

「陛下………()()()をお祈りいたします」

 コルティが微笑む。

「当然です。カレンに偉そうな事を随分と並べてしまいましたからね………少なくとも、()()()()に好き勝手されない程度には務めないと笑われてしまいます」

 リリアが手を差し伸べる。

「改めて感謝を………今度は、私も例のお店に招待して下さい」

「喜んで。その時は、陛下の奢りだと皆に言っておきます」

 コルティも手を伸ばし、握手を交わした。

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