⑭そして時が回り始める
「ありがとう。でも、きっと、それが一番難しいかもしれないかな」
リールの表情が和らいでいく。
「ショーゴは、ああ見えて結構頑固だから」
「ええ、全くです。私からの再三の注意も、聞いていたのか、聞いていなかったのか。随分と困らされました」
コルティも頬を緩めると、シュタインも瞼を上げ、目を大きくさせる。
「そういう意味では私も負けてはいませんな。何度、私の助言と注意を無視された事か」
共通した悩みに、三人で肩を揺らしていた。
「そっか。ショーゴは幸せ者だね。これだけの人達に大切にされていたんだから」
彼の性格では到底似つかわしくない魔王という存在の役を任され、蛮族と呼ばれた人ならざる者達を率いる。その事にリールは当初から心配していたが、二人のように、彼の性格を知った上でも傍にいようとする者達の存在がいた事を改めて認識し、僅かに安堵する。
「また今日みたいに友達を連れて来て下さい。もう………誰かがいなくなるのは嫌だよ」
今にも零れそうな涙に耐えつつ笑うリールの素直な言葉に、コルティとシュタインは自信をもって頷いた。
―――翌朝。
コルティ達は、頭を押さえながら起き上がったツヴァイールやクルマンに旧カデリア領における労働者募集の情報を明かし、有翼人族と連携して各集落に伝達する手はずを整えた。




