④永遠の別れ
だが、気付いてしまったとロデリウスは二つの空いたグラスに酒を注ぐ。
「確かに、この大陸の人々の生活や技術の水準、社会体制等は急速に発展しました。そして、それが僕達が進めてきた企画が少なからず影響させてきた事は否定しません。それによって救われた人達も大勢いたことでしょう」
ロデリウスがグラスを握り、それを通して目前のフランカに視線を合わせた。
「だけど結局、僕達がやってきた事は自己満足の為に、自分は安全な場所に居ながら、多くの命を奪い、好きな目が出る賽子を振って楽しんでいたんだ」
グラスを傾けて、全てを飲み干す。
「相変わらず………数百年経っても、その考えは変わらないのね」
フランカも、彼を通すようにグラスを持ち上げると全てを飲み干した。
「犠牲なくして事業は成功しないわ、ロデリウス。貴方の言葉を使わせてもらうなら、私達が動かなければ、人間達は野蛮なまま。今の状況に辿り着くまでに、より多くの犠牲が出ていた事は疑いようはない」
貴方も身をもって知っているはず、と彼女が続ける。
「どんなに世界が変わっても、人の歴史ってそういうものでしょう?」
「フランカ………君も変わっていないね。その性格も、飲み方も。数百年前からずっとだ」
ロデリウスは先に立ち上がると彼女に背中を向け、窓の外を眺める。
「今でも、こんな僕を誘ってくれる気持ちは嬉しいけれど、僕はもう戻らない。社長にもそう伝えてくれないか?」
「………本当にそれで良いの? 今回の件、社長へ報告する内容に、貴方が関わっている事も含まれるのよ」
重い意味を含んでいる。それを伝えた方も、聞いた方も、その意味を正確に理解していた。
ロデリウスは無言をもって、彼女の言葉に応える。




