⑧カレンが望む先
二人が目指す壮大な目的と未来に、残されたカレンの表情は複雑だった。
それに気付いたか否か、ケリケラが彼女に顔を向けて声をかける。
「カレンはどうする? ボク達と一緒に来る?」
遅れてマキも視線を向けた。
「ケリケラさん………カレンさんには騎士団としてのお務めが」
「あ、そっか」
気を遣ったかのようにマキが答え、ケリケラもそれに納得する。
「もっと一緒にいられると思ったんだけどなぁ」
何気ない言葉だが、それはカレンに重くのしかかった。
「………ごめんね。でも、もうしばらくは一緒にいられるんじゃないかな」
口を尖らせるケリケラに、カレンは表情に困りながらも精一杯の笑顔を見せる事にした。
だがカレン自身、自分だけが孤立している想いを拭いきれずにいた。マキはフォースィを育てる事、ケリケラはコルティと共に相田と再会する為の計画と準備と、目的は明確である。そしていつか大魔王と再び会うのだろうと、カレンは一歩を踏み出した仲間達を嬉しく思い、また羨ましくその背中を見ていた。
王国騎士団にその身を捧げた事に悔いはない。だが、カレンはその先で自分が成すべき事を見い出せずにいた事を思い知らされる。
「私は―――」「カレン?」
小さな口から零れかけた声に重ねるように、無垢な表情のケリケラがカレンを覗き込む。彼女はすぐに顔を上げると誤魔化すように笑い、首を左右に振った。
「ううん、何でもない。あ、こっちも準備が終わりました」
「え、嘘! カレン、早いって!」
「いえいえ。ケリケラさんが遅いんですよ?」
カレンが木箱の蓋を閉め、ケリケラも慌てながらも私物を木箱に収め終える。
「コルティ。準備できたよぉ」
「すみません、お待たせしました………あら、お兄様は?」
馬車からケリケラ達が降りてくる。マキは霧で僅かに濡れている足元を気にしつつ、自分の兄の姿を探し始めた。
「リコルさんなら先程、見回りに………あぁ、丁度戻って来ました」
コルティがケリケラ達の後ろを指さし、遅れて靄の中からリコルの姿が現れる。




