表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
どうやら一夜の過ちを犯してしまったようです。  作者: 此花チリエージョ
【本編】どうやら一夜の過ちを犯してしまったようです。
2/7

挙動不審な彩加と過ちの真実

 私はベルが鳴らないようカフェバー『flos(フロース) odor(オドル)』の中を伺いながら、そろりそろ~りドアを開ける。…が、無駄な抵抗で…カラン…カラ…ンと、控えめな音が正午過ぎの店内に響いた。


「いらっしゃいませぇ」

「…こ、こん…にちは、ますまぁ」

「あら、彩香ちゃん。どうしたのぅ?」

「えっ、えーと…ますまぁ…弟さんは…居ますかぁー?」

「綾人?あの子はいないわよ」

「そ…ですか」


 私は“過ち相手?”の如月綾人の不在を確認すると、ほっと安堵して、店内におずおずと入り、カウンター席にやって来る。


「あら、今日は髪を下ろしてるのね。いつも纏めてあるから珍しいわ」

「……そ、そう…ですね…」

「?」


 あまりにも“挙動不審”な私に“如月綾人の兄”おねぇマスターは右頬に右手をあてて、左手を右肘に添えて、頭を傾げている。


「綾人がどうかしたかしら?」

「………」

「まさか、あの子、とうとう、告」


 顔を真っ赤にして言い淀む私に、何かを察したマスターの声と、ドアのベルの音が重なり“最後”の部分が聞き取れなかった。


「やっと見つけた」

「…ーっ!」


 ぜぇはぁと息を乱し、一番会いたくない人が私の後ろに居る。

 私の身体は石のように固まり“過ち?”から逃げた“負い目”から、怖くて振り向けない。如月綾人は私の腕をがっしり掴み、


「兄さん。俺『ダブルローストベーグル、ランチ』で『食後アイスルイボ』風間先輩は“ランチ”どうしますか?」

「へ?」

「“話”があるんで、お昼もついでに」

「………ベーコンとたまご添えスフレパンケーキのランチセットで、ドリンクがアイスカフェラテで、食後に…」


 あまりにも“真剣”な顔の如月綾人に、私は逃げれないと悟り、時間もかかるだろうから軽食ではなく、しっかり食べようとミニサラダ付きの“ランチセット”を頼んだ。


「……かしこまりましたぁ。席はどこがいいかしらぁ?」

「兄さん“奥”借りてもいいか?」

「……ほんとは…ディナーの“予約”のお客様だけ、だけれども仕方ないわね、今回だけ特別よぉ」

「サンキュ。埋め合わせは今度な」

「じゃ。今度の土日、ディナータイムだけ出てちょうだい」

「了解」


 私達に“何か”を察したマスターは、日中の営業時間には利用していない、奥に4人ほど座れる個室が3席ある。

 その個室の利用をあっさり許可し、ちゃっかり土日の戦力も確保していた。

 トントン拍子で事がすすむ様子を見ていると、やっぱり兄弟だなと思ってしまう。


「出来上がったら、持っていくわ。…あと、頑張りなさいねぇ」

「っ!……兄さん、気付いて?」

「バレバレよぉ」

「?」


 “何”を頑張るの?……マスターに“過ち?”バレてないよね?

 仲が良い兄弟だからって、そこまで踏み込んだ“会話(はなし)”しないよね?一人っ子だから分かんない~!

 ※彩香は“混乱”している。


「…ー先輩。風間先輩」

「へっ!?」


 気が付いたら、奥の個室に来ていた。

 如月綾人は申し訳なさそうに“私”を見つめる。


「その“昨夜”のこ「失礼しまぁす。お待たせしましたぁ!…あら、邪魔しちゃったかしら?」


 マスターは項垂(うなだ)れる弟を見て申し訳無さそうに問いかける。その“申し訳なさそうな顔”が、二人ともよく似ている。


「「………」…いや、切り出すタイミングが悪かっただけ」

「悪いことしちゃったわねぇ。はい、彩香ちゃん。ベーコンとたまご添えスフレパンケーキよ。綾人はダブル炭火焼きローストビーフベーグルサンドね」


 マスターは私達の前にそれぞれの食事を急いでセッテングする。

 “表”からカランッカランッ!とベルの音が鳴り、お客様の来店を報せる。


「あら、お客様だわ。いらっしゃいませぇ」

「やぁ、マスター。いつものよろしく」

「ブレンドコーヒーですねぇ。かしこまりましたぁ」


 マスターは急いで“表”のカウンターへ戻るとお客様の相手をする。先程までの賑やかだった、私達が居る個室はしーんと静まり返っていた。


「…………“昨夜“の…こと…だけど…」

「あー…、先にお昼にしよっか」


 今度は私から、おずおずしながら“昨夜”の事を切り出すと、如月綾人は歯切れ悪く昼食を優先する。

 まぁ、食事しながら“過ち?”の話しても、美味しい料理を楽しめないけど、黙々食べるのもなぁと思いながら私はフォークにベーコンとスフレパンケーキをさして口へ運ぶ。


「美味しいぃ!」


 ベーコンはカリカリで香ばしく、スフレパンケーキは

 甘さ控えめで生地がとてもふわふわだ!、いつも通りの“美味しさ”で、私はいつもの感想をいつもの癖で呟く。


「兄さんの料理は“賄い”も美味しいぞ」

「はじめて“会った時”に食べていたよね?」

「……あぁぁ、やっぱ“覚えてねぇかぁ”」


 如月綾人は通常の量より、二倍(ダブル)のローストビーフが入っている、ベーグルサンドを頬張りかけていたが、私の“言葉”を聞いて、ピクッと反応してガックリする。


「???」

「まぁ、そうだよなぁ」

「…どっかで、会ったけ?」

「………一昨年」

「一昨年?」


 一昨年、…一昨年って私が19歳で大学一年、如月綾人はまだ高校三年生の18歳だよね?

 高校生と大学生って接点なさそうだけど、あっ!でも、その頃から『flos(フロース) odor(オドル)』に来ていたから、此処で出会ってた??




 食事を終えた私は食後のアイスカフェラテにガムシロップを入れ、ストローでかき混ぜる。氷がカランカラン音をたてる。

 チラッと如月綾人を見ると、透き通った赤茶色のアイスルイボスティーをストローで飲んでいる。


「…その“昨夜“ですが、まだ学生だけど私は、もう21歳です。酔ってて記憶はないけど…私にも“落ち度”はあるので、今回の過ちはなかったことでお願いします!」


 私は“表”に聞こえないよう、小声で(まく)し立て、勢いよく頭を下げる。


「してない!」

「ふへぇ?」

「あー、やっぱ、誤解してたかっ!だよな、あの“状況”じゃするよな」

「へ?してない??」


 今度は如月綾人が小声で捲し立て、私はきょとんとする。

 じゃ、何でホテルの同じベッドで寝てたの??


「兄さんに頼まれて送ってた時ー…」


 如月綾人は“昨夜”の“真相”を語りはじめて。



 ※如月綾人視点


『…ー輩。風間先輩、大丈夫ですか?』

『うぃ、ひっく。へ?』

『……駄目だな。タクシー捕まえるか』

『うぅー…』

『先輩?』

『吐くぅー『えっ!ちょっ、ちょっと待って、ここじゃ』

『うぅ『だから駄目だって!せんぱぁい!!』


 なんとか路上の“大惨事”を防いで、公園のトイレに駆け込んだが、


『すみません、風間先輩。ワンピがゲロで汚れたんで触れます』

『ううぅ』


 公園のベンチに二人で座り、俺は濡れタオルケットで風間先輩の、七分丈の山吹色のワンピースの汚れを落としていくが、先輩は酔っぱらっていて上半身がふらふらと左右に動く。


『じっとしてて』

『ううん』

『落ちたか。俺、水道に行くんで、動かないで下さいね』


 ベンチから二、三歩の所にある水道に行くだけだが、かなり泥酔してるので、注意してから離れる。

 俺はゲロがついた自分の黒いカーディガンと七分丈の白いシャツを脱いで、上半身がグレーのタンクトップだけの姿になる。

 水道の蛇口をひねり、バシャバシャとカーディガンとシャツについたゲロを落とす。


『まだ、匂うな』


 俺は水を絞り、微かにゲロの匂いが漂うカーディガンとシャツを見つめる。

 先輩のワンピは、流石に脱がせられず拭いただけなので、ぷんぷんとゲロの匂いが漂っている。これ以上はどうしようもないので、


『歩けますか?』

『うー』


 俺はかくんと頷いた先輩を引きずって、自分の濡れた服を手に持って道路に向かう。



『兄ちゃん、ダメダメ!』

『そこをなんとかなりませんか?』

『吐かれたら、匂いが取れるまで“客乗せれない”から無理だよ!』

『…そう…ですか』

『悪いね。他も同じだから歩くしかねぇけど、姉ちゃんは無理そうだな。ここ曲がった角に“ホテル”があるから、そこ“泊まりな”』

『は?』

『姉ちゃんと幸せになぁ』


 俺達を“カップル同士”だと、勘違いしたタクシーのおじさんは、お客を乗せて去って行く。

 教えられたホテルまでやって来て“サービス”の内容を確認する。

 “クリーニング”もあるし、さっきまで騒いでいた先輩は熟睡していた。


『あー…これ以上は無理か』


 早くゲロの匂いもどうにかしたかった。先輩より早く起きて“説明”すれば問題ないだろうとホテルに入る。

 ホテルの受付のお姉さんとお兄さんは“匂い”で、全てを察してくれて、クリーニングの手配や、受付のお姉さんは先輩のワンピを脱がすのを手伝ってくれた。


 …ー眠い。ウトウトしながら俺は時計を確認する。時刻は既に深夜0時を過ぎていた。


『…ー先輩より、先に起きればいいか』


 この時、俺のタンクトップも一緒にクリーニングにだしてホテルのパジャマを着れば良かったが、眠気に勝てなかった俺は上半身、裸のまま寝過ごして“冒頭”の“誤解”に繋がった。


そりゃ誤解するよと思った方は☆5を、いやもう少し冷静になろうよと思った方は☆3をポチっと押して下さいね。


面白かったら嬉しいし、創作の励みになりますのでブクマと評価をよろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ