表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
19/28

2章 プロローグ

 真っ暗な部屋の中、炎が見える。

小さな炎は煌々として眩しい。その炎のせいで部屋の様子がわからない。

暗闇に目が慣れないのだ。


 ……一体ここはどこなのよ。


 夢の中のように意識はぼんやりとしているし、身体が金縛りにあったように動かない。

 さっきまでエストといたはずなのに。

 声をあげようにもなかなか出なくて唸り声のようになってしまう。


「ふふ……おはようございます、ソフィア様。ようやくお目覚めですね?」

「う……あ、なた……誰なのよ……」


 前の方からだろうか?

 初めて聞くその声は、性別の判別がつきにくい声だった。意識がぼんやりとしているせいかもしれない。男なのか、女なのかもわからなかった。


「そう……。まだ考え事ができるほど、意識が残っているとは。意外と芯がしっかりとしていますね」

「うあっ……うぅ……」


 ――何……これ。あ、たまが……


「ほら、何も考えられなくなってきたでしょう? 大丈夫、少し協力してもらうだけですから」

「な……んで、私……なの? 私は……あ、あなたなんて……しらない」

「すみません。ソフィア様が悪いわけじゃないんです。ただ、君が一番扱いやすそうだったから」

「そ…んな……」

「どうしても、……をこけにしたあの子を許せないんですよ。どうして選んでくれなかったんだろう。一番あの子に相応しいのは……なのに」


 段々と語尾が強くなるにつれて荒くなっていく声を朦朧とする頭で聞いていた。

 聞き逃さないように、せめて少しでも顔が見えればと思いながら。


「君には働いてもらいますよ……」

「ば…か……」


 ばかじゃないの、と言おうとして最後まで声にならなかった。

 薄れゆく意識の中で、本当の馬鹿は私だと自分を呪った。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ