花の国
短いですが投稿していきます!!
舞台は花の国。読者様の花の国を想像してください!!
3
ペシペシと額を軽く叩かれている。目を覚ますと目の前にヒロオの顔が迫っていた。
「ちゅう?」
「何を訳の分からないこと言ってるんだお前」
「ごめん。ちょっと頭がこんらんしてるみたい」
「だいぶ、こんらんしているみたいだぞ」
身体を起こして頬をパンパンと叩いてモヤモヤしている頭のサッパリさせる。確か此岸花をヒロオと一緒に摘んだところで記憶がもやもやと曖昧なのだ。
そしてここが何処かも分からない。周囲を見ると百花繚乱に咲き乱れる花一面が広がっていた。ある種、感動できるほどの景色である。
右を向けば色とりどりの花畑。左を向けば綺麗な花びらが舞っている。正面はヒロオ。
「ここどこ?」
「花の国だ」
「花の国?」
「ああ。花がずっと綺麗に咲いている国だ。世界のどっかにあるって聞いたことがある」
ヒロオの言う通りここは花の国だろう。だってアキラの目には綺麗な花がたくさん咲いているのだから。
此岸花を見つけたら面白いことが起きるとはこのことだったのだろう。確かにこの景色を見られるのなら此岸花を見つけられて良かった。
「あれ此岸花は?」
「ここにある」
ヒロオが青い此岸花を手に持っていた。周りに咲いている花も綺麗だけど此岸花の方が綺麗に見える。
「勝負はおれの勝ちだな」
「あ、そういえば」
「取りあえず花の国を探検しようぜ」
「…うん!!」
差し出してくれた手を握って立ち上がる。そのまま勢いよく花畑の走る。
こんな清々しい気持ちは久しぶりかもしれない。空気を吸えば美味しいし、視界に広がる鮮やかさがどんどん映る。
何もしないでずっと見てられる景色だ。ここで昼寝をするのも良いかもしれない。
「でも、どうやって帰るの?」
「そうだな。この国の偉いひとに帰らせてもらうしかないな」
「エライ人?」
「おう。ここは国なんだから王様や女王様がいてもおかしくないだろ」
花の国の王様か女王様。どんな人なのだろう。
優しい人なのか、怖い人なのか。アキラは優しい人だと良いなと思う。
「どこに行けば会えるの?」
「あそこに大きな花が咲いているところが見えるだろ」
「見える。あそこにいるんだね!!」
「その通りだ。さあ行こうぜ」
大きな花を目指してどんどん歩く。大きな花なんて向日葵くらいしか見たことがないが、目の前にある大きな花はそれ以上に大きい。
そしてとても鮮やかで綺麗な花だ。花びら1枚1枚が別々の色で、まるで虹の花のようである。
「きれー」
「だな。これは枯れない花で、この花の国の象徴なんだ」
「へえ、そうなんだ」
ヒロオが大きな花の説明をしているが耳に入ってこない。感動していると人の話なんて聞こえないものだ。
魅入られたように大きな花をずっと見てしまう。世界にはこんな綺麗な花が咲いているのかと感動してしまっているのだ。
だが、感動しているところを新たな声で中断される。それはそれはとても優しい声であった。
「おや、こんなところにお客さんなんて珍しい」
彼らの後ろにいたのは鮮やかなドレスを着て、透明な羽を生やした綺麗な女性であった。
4
「こんにちは。私はこの花の国の女王。リリィと言います」
花の女王と言うよりも妖精の女王と言う方が的確な気がする。どちらでも良いかもしれないアキラは美しさに目を奪われた。
ヒロオがアキラの肩をトントンと叩いているが気付いていない。目を奪われるとはまさにこの状況で魅了されたと言ってもいい。
「おーい」
「ごめん。目を奪われた。だってとても綺麗だし」
「うふふ、ありがとう。えと、君たちは?」
「おれはヒロオ」
「アキラ。よろしくお願いします」
「ヒロオくんにアキラくんね。どうやって花の国にきたの?」
「それはこれだ」
此岸花をリリィに見せると全てを察した顔をした。やはり花の女王ならば此岸花のことを知っているようだ。
「そういうことなのね。まさかまだ咲いているなんて…」
「此岸花ってあまり咲いてないの?」
「ええ。でもそっちでまだ咲いてるのね。それは嬉しいことです」
リリィの顔はとても優しい。
「で、帰りたいんだけど…」
「ああ、良いですよ」
「え、もう少し見てたい」
ヒロオには悪いがアキラはもっと花の国を観光したいのであった。
「なら私と遊びませんか。暇なんです。遊んでくれたら帰してあげますよ」
リリィの提案に2人は笑顔で了承。せっかく花の国に来れたのならもう少し遊んでいきたいものだ。
花の国で遊ぶ。しかも花の女王との遊ぶなんてどんな遊びだろう。
アキラは心が花が咲き乱れるようにワクワクしていた。
次回もゆっくりお待ちください