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性転魔法使いのオブリージュ  作者: Kiruna
魔法高校編
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蓮野 春香と『学生頭』真白 美雪と紅天寺 茜

私こと蓮野 春香と勇者(ゆうしゃ)様こと本道 信一さんが学園に戻ると、生徒達が向かい入れてくれる。


「今日も魔物(モンスター)を倒したそうよ」とか、「お似合いのカップルね」とかそんな言葉が聞こえてくる。


とりあえず笑顔に手を振って、歩き出すが、カップルって私達はまだ付き合っていないですよ?


そんな感じに祝福されながら歩いていると、目の前に立ちはだかる人がいた。


それは、高校の学生頭(リーダー)の真白 美雪さんでした。


彼女はこの間の大会で見事に優勝して、高校の学生頭(リーダー)になった人だ。


「お疲れ様です。本日も無事に魔物(モンスター)の討伐を終えました」


信一さんは、定例行事のごとく真白さんに言った。


「お疲れ様でした。今日もありがとうごさいました。魔物(モンスター)の討伐したばかりで申し訳無いのですが、春さんと話をしたい方がいますので、春さんだけ(・・・・)学生頭室にきていただけないでしょうか」


真白さんが私を呼ぶ時はなぜか春香ではなくて、春と私の事を呼ぶ。


「話したい人なら、この周りにもたくさんいると思うんだけど。ねえ、みんな?」


信一さんは、真白さんの言葉に対してそう返して、最後に周りにいる人達に声をかける。


周りの人達は、「はい!もちろんです!」と声を揃えて言った。


「そうですか、では、来週末に春さんに私と茜さんのタッグと対戦して頂きます。その話をしたいので、ぜひ学生頭室に来てください」


真白さんは堂々と、覚悟を決めたようにそう私達に言った。


「そんなこと聞いてないけど?」


信一さんがそう言って、周りも騒ぎ出す。


私もそんな話聞いておらず、何が何だかわからない。


「始めは高校の代表の私と勇者(ゆうしゃ)パーティーの春さんの対戦を学生のために見せるという事で話がありました。しかし、私だけでは、あの勇者(ゆうしゃ)パーティーの一人である春さんには相手にならないと思ったのです。だからこちらにもう一人、私とタッグを組むとして相性の良い茜さんを仲間としてこの話が決められたのです。本当はこの話も周りには内緒にしておこうと思いましたが仕方ありません。しかし、これ以上のことは当日までに内緒にしておきたいので、春さんのみ私と共に来て下さい」


周りが騒いでいても、堂々という真白さんのその姿に私は何故か嬉しくなりました。


あの真白さんがここまでできるようになるなんてとも思ってしまいましたが、私は真白さんとの接点はあまり無かったはずなのに、何故そう思うのでしょう。


「そういうことですか。なら、行ってこないとね」


信一さんがそう言って私の背中を押す。


私も話に納得したので真白さんに向かって歩き出す。


「はい、行ってきます」


「いってらっしゃい」


信一さんは笑顔で送り出してくれた。


なんだろう。


なんでこんなに笑顔なのだろう。


私は不思議にそう思った。


そんな疑問を置いておいて、私と美雪さんは学生頭室に向かいます。


あくまでも堂々と前を向いて歩く美雪さん。


途中に話す事も無く学生頭室に到着しました。


美雪さんはドアを開けて、私が入れるようにドアを支える。


「ありがとうございます」


私は感謝すると、何故か睨みつけられましたが、何故か分からないので、とりあえず部屋に入ります。


部屋の中に入ると中央に机と、そこに並べて座る椅子が数個ありました。


学生頭室というよりも会議室といった感じでした。


ロック(施錠)


美雪さんは部屋に入ると『ロック(施錠)』します。


そして、奥の方に入っていき、もう一人がいる隣に腰をかけました。


もう一人は紅天寺 茜さんで、先程の対戦の話にも出てきていたので不思議ではありません。


私も腰をかける雰囲気だったので、お二人と向かい合わせになる様に、ドア側の椅子に腰をかけます。


「では話を始めます。まずは、私の名前は真白 美雪、藍癒人魚姫アクアマリン・マーメイド・プリンセスと呼ばれています」


私が座るのを確認すると、真白さんは話の始めとして自己紹介を始めた。


(わたくし)の名前は紅天寺 茜ですわ。異名(ネーム)日長直猪(サンストーン・ボア)ですわ!」


隣にいる茜さんは、今にでも座った椅子から立ち上がらんとばかりに元気な紹介をした。


「私の名前は蓮野 春香です。黒色聖母(こくしょくせいぼ)と呼ばれています」


私が自己紹介すると、真白さんと紅天寺さんに何故か睨みつけられました。


何かおかしいところがあったでしょうか?


「私達二人はついこの間まで、下級ランクでした。ですが、とある事をしたお陰で上級ランクにも勝つ事が出来ました」


真白さんがこちらに何かを訴えていそうな雰囲気を出しながらそう言ってきます。


「えっと、それはすごいですね」


訴えてきても分からないものは分かりません。


だから、私はそう答えました。


真白さんはその言葉を聞いて、すこしガッカリしたかのように下を向き、またこちらを見ます。


(わたくし)は、とある方に憧れて努力しましたわ。何度も何度も同じ魔法を繰り返し、周りからバカにされても、それでも同じ魔法を繰り返しましたわ。戦いの時も作戦など考えずに攻撃一直線の(わたくし)でしたわ。お陰で戦績は良くありませんでしたわ。でも、それでも良いと仰ってくれた人がいました。強くなる知識を得てもお前はお前らしく頑張れと仰ってくれた人がいたから、(わたくし)は、今!ここに居るのです!」


次に紅天寺さんが、私を睨みつけんとばかりにそう言って、いえ、叫びました。


でも、私にどうしろというのですか。


その人のようにすれば良いのですか?


私だって、魔物(モンスター)討伐を頑張ってるんですから、文句を言われる必要はないと思うのですけど。


「それは、良い人がいたのですね。私も会ってみたいものです」


でも、そんな人がいたのなら私も会って、強くしてもらいたいものです。


強くなれば強くなるほど、信一さんの隣に立つ事が出来るのだから。


私の言葉に、やはりガッカリした様子の紅天寺さん。ですが、またすぐに私を睨みつけんばかりにみてきます。


「私は、その人の事が嫌いでした。でも、最近は少しは好きになれたのかも知れません。自分の意思を貫き通すその意思を、好きになり始めたのかも知れません」


次に真白さんは、私にそう言ってきました。


紅天寺さんはその人に始めから憧れて、真白さんは好きになり始めて、


では今は?


「でも、今は前以上に嫌いです。来週の土曜日の午前10時に闘技場に来て下さい」


私の心を呼んだかのような真白さんの発言の後に、いきなり本題に入った。


それじゃ、その人物が私みたいじゃないかな?


でも、私はお二人とは接点など、あまり無かったはず。


(わたくし)達との対戦の後に、もう一人と戦ってもらう手はずとなっておりますわ。良いですか!その人には絶対に負けてはいけませんわよ!」


続いて紅天寺さんが、勢いよくそう言った。


その言い方じゃ、紅天寺さん達との対戦は勝ち負けなんてどうでも良いと言ってるようなものですけど。


「お話は以上です。学生頭室に来てくれてありがとうございました。出て行ってください」


真白さんは、話を切り上げて、私に外に出るように促した。


「でも、まだ詳しい・・・」


「いいから、出て行ってください!」


私が詳しい話を聞こうとすると、真白さんの声に遮られた、


今まで落ち着いていた声で話していたのに、その時の声は必死に何かを堪えているかのような声で、私は何も言えなくなってしまった。


「失礼します・・」


私はそれだけ言って学生頭室を出て行ったのであった。


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