真白 美雪と紅天寺 茜の作戦会議
私こと真白 美雪と茜さんは、学生頭室を出て行く春さんを見ていた。
出て行ってからも数秒間ただドアを見つめていた。
「っ・・・、ぅ・・・」
そして、部屋に響くのは、私の泣いた声だった。
わかっていた事だった。
春さんは本道という人物に何らかの魔法をかけられて、最初から女だったかのような記憶を持たされたみたいだ。
男だった時の記憶はないみたいで、私達を下級ランクから上級ランクにまで育てあげた記憶も失っている。
それは、わかっていた事だけれども、実際に会ってみて悲しかった。
それは、初対面と接した時の赤の他人にする対応だった。
それが、
「っ!悔しいですわ!」
そう、悔しかった。
発言した人、隣を見ると私と同じく泣いていた。
ああ、何でこんな事になってしまったのだろう。
私はただ、私を成長させてくれた春さんの為に、春さんが気ままに生活できるように、大会に優勝したのに本人の春さんが、あんな感じだなんて・・
私は何で大会に優勝したのか分からなくなった。
だから、その鬱憤を次の春さんとの対戦で全て晴らそう。
私は涙を拭って、隣にいる茜さんに言う。
「次の春さんとの対戦ですが、作戦は、はっきり言ってありません。あえて言うなら、私達らしくです。」
私の言葉に茜さんは驚いていた。
それは、そうだろう。
ただでさえ、勝ちの見えない対戦であるのに、作戦という作戦が無いだなんて。
けれど、今回の春さんとの私達の対戦は勝つのが目的では無い。
「今までの全てを春さんに出し尽くしましょう」
そう、それが今回の私達の一つの目的だ。
「そうですわね。春さんに教えて下さった事を」
「そして、春香とか名乗って私達を忘れた事の鬱憤を」
「「全力で出し尽くしましょう」」
私達は立ち上がり、お互いの拳を当てる。
それで、春さんが私達の事を思い出すのなら嬉しい。
思い出さなくても、全力を出し尽くした事で、きっと納得するのだろう。
「それにしても、私達って春さんのことあまり知らなかった事に気が付きましたわ。例えば魔法使いになったキッカケって何なのでしょう」
拳を離して、少し離れた茜さんがそんな事を聞いてきた。
それについて改めて考えてみて、思いついた。
「それだ!」
私は叫んだ。
春さんの魔法少女になる為の詠唱は、【私は願う、過去、未来、そして今を築く。唯、自分の時間を過ごすために、この力を使う事を】だったはず。
つまり、他の人の事は考えずに、自分の事だけに魔法を使うこと。
何があって、そのような詠唱になったかは分からない。随分と勝手な気もするけど、それが春さんなのだから仕方ないし、私的には今の春さんよりも好感が持てた。
今の春さんにその詠唱は合っているのだろうか。
他人に心のない笑顔で返し、他人の為に魔物を討伐する今の春さんにその詠唱は合っているのだろうか。
合ってないはず。
そうだ。その矛盾をついて行けばいい。
「茜さん!茜さんは茜さんらしく、思った事をそのまま叫んでください。私は私らしく考えて叫びますから!」
私が考えて、それを聞いて思った事を好きに叫んでもらう。
これが、私達らしい戦い方なのですよね。春さん。
そうして、時が過ぎ、春さんとの対戦が始まるので会った。




