67話 繋がった世界
今回は少しだけですが残酷な描写があります。
苦手な方はお気を付けください。
目の前には、懐かしい景色が広がっていた。自分の知る現世に戻ってきたのだ。
しかし、この違和感は何だろうか。異様なほど静寂に包まれた街。かつての賑やかさはどこかへ消え去ってしまったのだろうか。太陽は真上にある。まだ正午だというのに、今、目の前にあるのは静まり返った街だ。
「何が、起こっているんだ?」
震える声で問う。誰かに投げ掛けた疑問ではない。口から意識せずにこぼれ落ちたのだ。質問に答えられる者はデッドガーディアンズにはおらず、意外にも、その返答は街からのだった。
いくつもの悲鳴、いくつもの血痕。目を反らし、意識の外に追いやっていたはずの光景が、脳に認識されてしまった。血の臭いは濃く、目の前に広がる光景によって呼吸を乱してしまった者は皆が胃の中身を吐き出す。
生臭く、少し鉄のような臭いに、皆がたまらずにうずくまる。この光景を見て、平気でいられる者などいないだろう。
しかし、その思考はすぐに否定された。
「酷いものだね。イーターが人を喰らうとは」
剛力が呟く。
「人々の希望だけでなく肉体まで喰らうとは……名前通りになってしまいましたね」
サラディンが続く。
正直、この二人が平気でいられるのが不思議でしょうがない。皆がうずくまるなか、彼ら二人だけは会話を交わしている。この光景に慣れているとでもいうのだろうか。
落ち着きを取り戻した優斗は、あらためてこの光景を見る。血痕だけではなく、所々に肉片が落ちていた。肉片には元の色が判別出来ないほどに赤く染まった服が付いており、それが優斗の恐怖心を煽る。
しかし、大丈夫だ。気にしてはいけない。今、死んでしまった者の弔いをするほどの余裕はなく、とにかく慣れておきたかった。
「……よし!」
優斗は気合いを入れ直すべく、両頬を自らの平手で叩く。
と、気合いを入れ直したところで左腕に付けているナビが音を鳴らす。メッセージを受け取ったようだ。
ナビを開き、メッセージを確認する。数回ほど無機質な機械音が鳴り、画面には差出人と用件が表示された。
『エレクトリックバングルの完成品が出来た。補給班に居るから、取りに来てくれ』
とのことだった。
確か、エレクトリックバングルを買ったときにまだ完成してはいないと言っていた。今優斗が持っている未完成品でもあれだけの強さがあるのだが、それがさらに強くなるとは。
強化内容が何かはわからないが、完成品が出来たならば受けとるしかないだろう。
優斗は店主のもとへ向かう。
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