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死後生活―アフターデッド・ライフ―  作者: 黒肯倫理教団
第四章

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52話 決断・変動

祝!十万文字達成です~

文庫本一冊ぐらいですかね? よくわかりませんが。

これからも頑張っていきます。

 本部。皆が寝静まった頃、黒い影が動き出した。

 その影の主――京也は、息を潜めて本部内を移動する。今日の戦闘で疲れたのか、見回りはほとんどいない。

 人がいないことを確認すると、京也は出口へ向かう。

 なぜこんなことをしているのか。理由は簡単だ。妹のことである。

 戦場で再会した妹は、藤堂の言いなりになっていた。それが彼女の意思だということは彼女の表情から見てとれた。

 確かに、あの世界は理不尽だ。自分たちのような罪もない人間が地獄のような人生を過ごし、悪人たちはそれを嘲笑いながら生きる。

 どんなに幸せな状態であろうと、ただ一度でも惨事が起これば崩れてしまう。幸せは非常に脆く、崩れやすい。

 しかし、逆はそうはならないのが現実だ。どんなに足掻いても幸せには手が届かない。あまりにも遠すぎる。

 鈴佳は、それを理解している。だからこそ、自分たちのような人間を生み出すあの世界が憎いのだろう。

 自分だって、そう考えたことはあった。この状況に置かれたならば、誰しもが己の不幸さを嘆き、他人を眺めながら「不幸だ」と呟くだろう。

 しかし、だからといって藤堂の行いを許すわけにはいかない。自分が理不尽な人生を送ったからといって、他人までそれに巻き込むなど考えてはいけない。痛みを知っているはずの人間が、それで良いわけがない。

 鈴佳がそう考えているならば、すぐにでも止めなければならない。これ以上思考がおかしくなる前に藤堂から救いださなければ、鈴佳がどうなるかわからないだ。

 藤堂の理想が叶ったとして、残るのは後悔と罪悪感だけだ。そんな苦痛を妹に味あわせたくない。

 出口の開閉ボタンを押そうとして、止まる。

 自分が勝手な行動をしてしまったら、デッドガーディアンズの皆を危険にさらしてしまうのではないか。自惚れではないが、今のデッドガーディアンズにおいて、かなり上位の実力がある。自分が一人抜けるだけで、戦力の減少は激しいだろう。

 だが、手はボタンを押した。考えずとも答えは決まっている。妹を助け出さなければいけないのだ。唯一の家族を失いたくはない。

 京也は外に出ると、目的地を確認する。

 昼間のうちにサラディンから聞いておいたため、正確な距離と方角が記されている。

 ここからだとかなり遠いが、能力を使えば一週間もかからないだろう。

 京也は体を夜の闇に溶かし、目的地――敵の本拠地へと向かった。




 同時刻。デッドガーディアンズ本部の北西には黒いフードを被った二人組がいた。

 「面白いけど、物足りないなあ。ボクとしては、もう少し激しい戦いになって欲しいんだけどなあ」

 二人組の内、小柄なほうがそう呟く。

 「お前は相変わらずだな。そんなに物足りないなら、また誰かをつれてくるか?」

 長身の男が聞き返す。

 「それはいいね。ボクとしては、必ず死ぬ役回りの人が欲しいなあ」

 「……ったく。お前はどんだけ残酷なんだか」

 呆れたように腕を広げ、やれやれと男は言う。

 「いいじゃないか。それより、候補は居るの?」

 「すでに確定しているさ。次に投入するプログラムナンバーはHS251192R。赤城浩介(あかぎこうすけ)だ。こいつは必ず死ぬ運命(カルマ)にしておくか」

 「赤城浩介……か。確か三島優斗の友人で、理想の強さはなかなかの物だったね」

 「ああ。こいつを投入すれば、確実に面白くなるだろうな」

 長身の男は不気味に笑う。

 「君だって、ボクと変わらないじゃないか。同じように楽しんでる」

 「お前と一緒にするなって。んなことより、そのボクって一人称はどうにかならないのか? お前は女なんだろ?」

 「現世では人気があるらしいよ? カルだって良いと思うでしょ?」

 「微妙だな」

 カルに即答されて、小柄なほうは肩を落とす。

 「んじゃあ、創世主にでも報告でもするか。ファイ、行くぞ」

 「りょーかい」

 フードを被った二人組――カルとファイは、姿を消した。


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