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死後生活―アフターデッド・ライフ―  作者: 黒肯倫理教団
第四章

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44話 奇襲

本日より更新ペースを月曜、水曜、金曜でやっていきます。

これからもよろしくお願いします。

 夜。地平線には日が沈みかけ、空は僅かな赤を残して黒く染まっていく。

 これが沈みきった時、戦いが始まる。前方を見据えながら、今はサラディンの指示を待つだけだ。

 そわそわと落ち着かない様子を見せるものも居れば、静かに黙り込み集中するものもいる。皆に怯えの色は無い。ただ、戦いに備えて待つ。

 空は黒い闇に包まれていき、やがて、すべてが闇に覆われた。

 「全員、突撃!」

 サラディンの合図で、一斉に皆が飛び出していく。敵はこちらの気配に気づくが、突然の奇襲によって体勢を整えることが出来ない。

 何人か、敵側に人間がいるのを確認できた。長髪の女。長身痩躯の男。黒尽くめの少女。大柄の男。いずれもアリアの残した情報とは異なるため、イーターを操る存在ではないだろう。

 こちらの奇襲を受け、長身痩躯の男が即座にイーターを配置する。いずれも上位のイーターだが、たいした足止めにはならないだろう。

 サラディンの指示で、後方の遠距離勢が一斉に攻撃を開始する。上位のイーターが相手では、倒すには足らない。しかし、微々たる能力であろうと正確な操作により、確実に敵の弱点を突いていく。

 今は、ここに陣を取り守りを固めてここに拠点を築き、遠距離攻撃で援護をしていく。サラディンはここに待機して皆に指示を与え、確実に敵を討つ。

 この拠点では奏とアイカを待機させている。金属生成による後方援護を奏に任せ、アイカには敵からの攻撃を防いでもらう。近距離を専門とするものたちがその間に敵を減らすことで、確実に敵の幹部格に近づこうという作戦だ。

 『優斗君は左方向から、京也君は右方向から攻めてくれ』

 サラディンからの指示を受け、二手に分かれる。行く手を遮るイーターを倒しつつ、優斗は一番近くにいる敵幹部に近づく。

 敵側もこちらに気がついたのか、振り返りながらいくつもの氷柱を放ってきた。優斗は身を翻してそれをかわすと、敵の姿を確認する。

 視界には、二人の敵が身構えている。凍てつくような冷たい眼を向ける白い長髪の女と、やつれたように身をふらつかせる長身痩躯の男だ。

 敵は、こちらが声を発する暇も無く攻撃を再開してきた。雷で速さを高めた優斗には氷柱は当たらない。しかし、避ければ避けるほど敵は数を増やして放って来た。

 優斗は周囲に無数の雷爆を作り出し、一斉に放つ。氷柱を相殺し、なおかつ女に雷爆を命中させる。

 若干怯んだ様に見えたが、たいした隙は見えない。女はすぐに男と交代する。

 やつれた男はがふらふらと足を踏み出したかと思うと、一瞬にして優斗の後ろに回りこんだ。優斗は後ろから蹴りを入れられて弾き飛ばされるが、空中で体勢を整える。ゼログラビティにより、体を浮遊させたのだ。

 速さでは負けない。そう考えた優斗は一気に男のほうに向かう。向こうがいくら速く動けたとしても、こちらには敵わないだろう。見た限り、男は瞬間移動のほかに能力は無い。しかし、こちらには速さも攻撃手段もあるからだ。

 優斗はエレクトリックバングルに電気を流し、一気に接近して斬りつける。相手は素早く身を翻すが、それはすでに予想済みだ。剣の軌道を変えると、相手が驚きの表情を見せる。直後、相手の足が斬り飛ばされる。

 「あ、あ……」

 男は錯乱したように斬り飛ばされた足を見つめる。瞳孔は開き、視点が定まっていない。この男はもう戦力にはならないだろうと考えて女の姿を捜すが、姿が消えていた。

 突然、背後から強烈な殺気を感じる。何かと思い振り返ると、男がこちらを見据え、眉間にしわを寄せていた。

 「君は、僕を怒らせたね?」

 いつの間にか、男の足が元に戻っていた。再生能力かと思ったが、それがあるならばあれほど錯乱する必要も無いだろう。

 それとも何か、別の力か。

 優斗はサラディンに回線を繋げる。

 「サラディン。視界・音声情報の共有でサポートを頼めるか?」

 『任せて』

 頭の中で、何かと繋がったような感覚がした。サラディンは視界情報を確認すると、一度距離を取るようにと指示をした。

 嫌な予感が走る。後方にバックステップをする。男は不気味な笑みを浮かべながらこちらを見据える。

 「彼の野望はすばらしい。あの憎き世界を潰せるのはかれしかいない。だから、僕は君を消すんだ。魂開放!」

 瞬間、男の体が淡く輝きだした。男は自分の体を少し確認する。

 「世界の最後が見られないのは残念だけど、彼の野望が潰えなければ僕はそれでいい」

 男の服装が変わっていた。学校の制服だ。黒い学ランを着た彼は、やつれていたせいでわからなかったが優斗とほとんど年齢差は無いらしい。若干優斗より年上といったところだろう。

 彼は一瞬だけつらそうな顔をするが、すぐに殺気に満ちた顔に戻る。

 「サラディン、今のはなんだ?」

 『あれは能力じゃない。こんなものは初めて見る』

 あの能力が何かはわからないが、嫌な感じが離れようとしない。相当の脅威なのだろう。

 『気をつけて。あれは彼自身の魂をエネルギーにしている』

 「魂をエネルギーに……?」

 『常にエネルギーは消費されているみたいだ。おそらく、彼を捕まえることは無理だろう。優斗君、無理だと思ったら逃げてくれ』

 「わかった」

 敵を見据える。男は一気に踏み出すと、こちらにすごい勢いで向かってきた。淡く光る体は、おそらく優斗が雷を体に宿したときと同様に身体能力を強化するのだろう。

 しかし、それだけではなかった。

 男は手から無数の光を放つ。優斗はそれを手に宿した雷で受け止めると、そのまま弾き返す。

 男はそれを難なく避けると、走る勢いをそのままに優斗に殴りかかる。優斗は右の拳を左手で掴み、右側に流す。わき腹ががら空きになった男に、優斗は膝蹴りを叩き込む。一発目で男が呻き、二発めで彼の肋骨を砕いた。

 優斗はそのまま投げ飛ばして距離を離す。骨は砕かれたが、まだ戦えるらしい。男は立ち上がると、再び構える。

 しかし……

 「なっ! そんな、まだ消えるわけには……」

 男の体が徐々に透けてきた。男は抵抗しようとするが、体は消えていく。

 「し、死守護者が! 貴様らはどうせ勝てない。彼が、藤堂様が世界を壊すんだ! あはははは!」

 男はそう言い切ると、消え去った。

更新ペースを落としたおかげか、書きやすかったです。

ご意見やご感想などありましたらお願いします。

いろいろと指摘していただけるとありがたいです。

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