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死後生活―アフターデッド・ライフ―  作者: 黒肯倫理教団
第二章

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25/75

25話 意思

やっぱり展開が早いような……

次章に入ったらゆっくりやった方がいいかもしれないですね。

 残る1体はキメラ型だ。こちらは動きも素早く物理攻撃に耐性があるようで、奏の放つ金属針は簡単に弾かれてしまう。

 ダメージはほぼ皆無に近いが、それでもやり続けるしかなかった。周囲を見渡す余裕などはなく、気づいたときには自分しかいなかった。

 奏に焦りが生じるが、攻撃のテンポは乱さない。少しでも狂わせれば、命がないからだ。逃げ惑いつつ、隙あらば反撃をする。しかしその努力も虚しく、傷はすぐに塞がっていく。

 キメラ型を倒すには、自分の能力ではダメらしい。生前の自分を呪いつつ、今は戦闘に集中する。




 周囲にはほとんど生き残りはいないようだった。皆が死んでしまった。横で、後ろで、前で悲鳴が上がっていた。その悲鳴が頭から離れない。これが戦闘の恐ろしさなのだろう。

 優斗は少しでも多くの仲間を助けなければと思い、キメラ型に攻撃を仕掛ける。

 「奏、後方援護に回るんだ!」

 雷を宿した拳でキメラ型のわき腹に攻撃をする。体内に走った電撃でキメラ型が怯むと、その隙に奏が距離をとった。

 キメラ型はかなり固く感じる。物理攻撃に耐性があるのだろう。内側に響くような雷ならば相性はなかなかいいだろう。

 ゼログラビティにより体は浮遊しており、雷による強化も合わせると、若干こちらのほうが機動力に優れるだろう。

 これはうまく距離をとりながら遠距離で攻めるのが一番だろう。周囲に雷爆を複数発生させると、優斗は右手に雷を宿す。手の周囲を雷が包み込むと、それを構えた。

 キメラ型が飛びかかってくると、優斗は素早く身をかわす。キメラ型が後ろ姿を見せたとき、右手の雷を放った。

 「轟け――雷鳴閃!」

 轟音を上げながら大きな一本の雷がキメラ型を襲う。例えるならば、地上で雷が起こったような、そんな激しさを感じさせる。

 それをまともに受けたキメラ型は、体を痙攣させながら怯む。ここぞとばかりに雷を回収し、奏に合図を送る。それに合わせて奏が大きな金属針を生成する。

 「「雷鳴針!」」

 二人の声に合わせて雷鳴針が飛んでいき、キメラ型を貫く。貫通しないものの、コアを露にさせた。立て続けに雷をくらったことにより、キメラ型は立つことができないらしい。チャンスとばかりに攻撃を仕掛けた。

 予め生成しておいた雷爆を放つと、コアが砕けた。キメラ型がポリゴンとして爆散すると、辺りからは少ないが歓声が上がった。

 生き残った戦闘員は10人。傷は負っているものの、奏がキメラ型を引き付けていたおかげで生き残れたらしい。

 あらためて周囲を確認するが、生き残りはこれだけのようだ。生き残った喜びと同時に、目の前で死んでいった者たちへの悲しみが込み上げる。

 当初では時間稼ぎが限界とされていた任務を、討伐まで運べたのはアランのおかげだろう。自らの命を捧げてまで勝利に繋いだ彼は、間違いなく本物の英雄だろう。

 優斗は胸の前で両手を合わせると、臨海基地に戻っていった。




 数時間後。すっかり辺りは暗くなっており、辺りは静けさに包まれていた。

 臨海基地では、死んでいった者たちへの黙祷を捧げていた。皆が胸の前で両手を合わせ、涙を流す。黙祷を終えると、優斗は反省を始めた。

 姿を眩ましていたとされるジェノは、すでに死んでいた。彼がイーターを可能な限り減らしたという事実はすぐに判明し、皆は自分たちの甘さを後悔した。

 優斗は今回の戦闘において自分の甘さを知った。自分にはアランほどの強い意思がなかったのではないかと反省し、これからの戦闘について考える。

 大切なことはなんだろうか。それは強い意思だろう。自分は異世界という響きに憧れていたために失敗した。ここには理想もあるが、現実もある。故に気を抜いてはならない。

 己の甘さを見つめ直していると、ナビにメッセージが入った。

 “あと数分で臨海基地に着く”

 アリアからのメッセージだ。優斗は気持ちを切り替えると、今回の戦闘に関する報告書を書き始めた。




 「これはひどい状態だな」

 そう呟く。臨海基地の周囲は荒れ果て、かつてのレジャー施設としての面影はない。

 臨海基地自体もダメージを受けているようで、もはや基地としての機能を果たしていなかった。

 この戦力で生き残ることが出来たのは奇跡に近いだろう。よほどのことがなければ、優斗や奏を増援しても勝利は難しい。

 アリアはバイクを適当なところに止めると、臨海基地の中に入った。

 優斗と奏に出迎えられ、報告書を受けとる。死者約100名、生存者12名。ジェノ策士とアランの捨て身によりかろうじて勝利ということだろう。

 「2人ともよくやった。もしお前たちがいなかったら臨海基地は全滅していただろう」

 出来る限り誉めるが、やはり彼らの表情は浮かない。死者が出ることに慣れていないのだろう。彼らの年齢にはやはり酷な仕事だったかもしれない。

 なぜ最初から自分を増援として向かわせなかったのかと、アリアは疑問に思った。確かに優斗と奏は強いだろう。しかし、絶望のフラグメントを守るということを考えるならば、あきらかに実践経験が足りない。それは技術面ではなく、精神面においてだ。

 怪我人の治療を終えると、生き残った戦闘員を引き連れて本部に向かった。


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