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死後生活―アフターデッド・ライフ―  作者: 黒肯倫理教団
第二章

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20話 会議

いやはや、暑いですね。

夏は寝付けなくて困ります。

そのぶん寝る前の執筆が捗るんですけれどね。

 朝、目を覚ました優斗は自分の目を疑った。後ろからなにかが抱きついているかのような感触があり、後ろを振り向くと視界の半分を肌色が埋めている。

 奏だった。着ていたであろうバスローブは紐がほどけ、見事なまでに体を露出している。優斗の腕に抱きつくようにしているため胸は辛うじて隠されているが、ささやかな膨らみの感触が優斗の腕に当たる。

 「ど、どうすればいいんだ……」

 確か俺は、普通に寝たはずだ。そう考えると奏の方から抱きついてきたのか。それはそれで嬉しい展開だが、奏の上半身が露になっていることを考えるとどうすればいいのかわからない。

 あまりにも密着しているせいで、なんだか奏の匂いがわかる。石鹸のいい香りと、女の子の匂いと言うべきだろうか。理性を失わさせるような刺激的な香りだ。

 もうどうすればいいのかわからない。ここは、寝たふりで押しきるしかないだろうと考えてまぶたを閉じる。

 しかし、何がどうなるとこんな状態になってしまうのか。寝ぼけた奏が間違えたと考えるのが妥当だろう。

 腕に当たる柔らかな感触が理性を刺激する。必死に押さえつけながら耐えていると、ついに奏が目を覚ました。




 体に暖かいなにかが当たっている。その優しい暖かさが気持ちよかったのか、奏はさらに足を絡ませた。抱き枕に抱きつくようにしっかりとそれを抱え、寝ぼけ眼でそれを見つめる。

 「え、え?」

 気がつけば、寝ている最中にピンクのローブが外れていた。優斗の体に全裸で抱きついている状態だ。

 確か昨日は自分一人で勘違いをしてしまい、早とちりをしてしまった。そのあと安心しきった奏は優斗のベッドに横になって、抱きつくように寝てしまった。

 それが今ではどうか。こんな姿を優斗に見られてしまったら、2人の今後の仲にも響くだろう。それだけは困る。

 奏は慌てて離れると、服を着替えた。こんなことがあったせいで、顔を会わせるときに恥ずかしく感じてしまうだろう。あくまでも平然とした態度を貫かなければならない。

 奏は自らの気を引き締めるべく、顔を洗いにいった。

 奏が去ったのを確認すると、優斗は体を起こす。どうにかなったという安堵感と同時に、もう終わってしまったのかという残念さが残る。

 時計を確認するとAM6:30とかいてある。いつイーターの襲撃が来るかわからないが、これぐらいに起きればちょうどいいだろう。

 身支度を済ませると、奏がやって来た。すごく固い笑みで「おはよう」と言ってきたので、こちらも「おはよう」と笑顔で返す。優斗は今朝のことに気がついていないフリをしなければならないので出来る限り平然を装った。

 そのとき、ドアをノックする音が聞こえた。

 「ジェノだ。用意ができたら会議室に来てくれ」

 そう言い残すと、ジェノは去っていった。

 「じゃあ、行きましょ」

 優斗たちは会議室に向かった。




 会議室では、ジェノを中心に話し合いが行われていた。優斗たちは中に入ると、用意された椅子に座った。

 「では、本題に入る」

 真面目な表情でジェノが話し出した。

 「敵は現在、この基地から10キロメートルほどの所に拠点を置いている。そして1日1回この基地に攻撃を仕掛けてきている。敵の数がだんだんと減っていることを考えると、こちらから総攻撃を仕掛けるのも悪くない」

 確かに総攻撃を仕掛けて一気に解決するのもいいかもしれない。だが、今の状態では死者を出さずに成功させるには難しいだろう。

 優斗と同様の考えなのか、一人の男が立ち上がり、発言許可を求めた。ジェノが頷くと、男は話し始めた。

 「臨海基地第2部隊隊長、アランです。今いる人員では死者を出してしまいます。確実に成功させるならもう少し敵を減らしてから叩くのが善作と思われます」

 「しかし、事態は急を要する。今総攻撃を仕掛けなかったら、あちらに増援が来るかもしれんのだよ」

 確かにジェノの意見は正しいかもしれない。しかしながら、自分が死ぬ可能性があると知った戦闘員たちは抗議を開始した。

 「ジェノ隊長、我々の命がかかっているのですよ!」

 「そうです! 制圧できたとしても死者を出してしまったら意味がありません!」

 会議室の中は混乱状態だった。怒声が飛び交い、反対意見を必死にアピールする者もいるがジェノは聞こうとしない。

 最終的にアランが多数決をとると言い出し、ジェノも渋々了承した。結果はもちろん、1対残りの全員だった。一度死を経験したからこそ、彼らは反対したのだ。

 ジェノは呆れたようにため息をつくと、会議室を出ていった。残った者たちは「一日に少しづつ倒すだけなら、あいつらなんて怖くないな」と言って、自らの安全を喜んだ。

 しばらくして10時になると、臨海基地にイーターが近づいてきた。各自戦闘体勢にはいると、戦いを始めた。

 その様子を、ジェノは未だ呆れたように見つめていた。


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